自分の心を開くこと
リー氏は、見知らぬ人とつながりを持つための大事なポイントとして、自らの“心のありよう”を挙げた。「簡単なことです。自分の心を開くこと。開いて接すれば、相手は感じてくれる。そして、見たことのないような美しい花のように心を開いてくれます」。確かに、どこまでも屈託のないリー氏の表情や話しぶりを見ていると、誰とでも友達になれそうに思えてくる。
つくった結果よりも、つくる過程で生じる「関係」を重んじるアートは、1998年、フランス出身のニコラ・ブリオーが著書「関係性の美学」で取り上げ、「リレーショナル・アート」と呼ばれて、世界的な広がりを見せている。リー氏もこの約20年間、こうした創作活動を続け、注目を浴びてきた。
いよいよ人間関係のあり方まで、アートから教えてもらう時代がきたのかと思ったとたん、待てよ、こうした教えは今に始まったことじゃないと気がついた。日本では茶道や禅にもあった。展覧会では、リー氏の考えや活動につながっている白隠、鈴木大拙、イヴ・クラインら思想家やアーティスト11人も紹介している。