SANKEI_EXPRESS__2014(平成26)年10月11日付EX(1面)【拡大】
ノルウェーのノーベル賞委員会は10日、2014年のノーベル平和賞を、パキスタンで女子教育の権利を求め、12年に銃撃されたマララ・ユスフザイさん(17)と、インドの子供たちの人権擁護活動に取り組むカイラシュ・サトヤルティ氏(60)に授与すると発表した。マララさんの17歳での受賞は1901年に始まったノーベル賞で、全6部門を通じて史上最年少となる。
■印人権活動家にも
ノーベル賞委員会は、2人の受賞理由について「世界の子供たちが働かさせられるのではなく、教育を受ける権利があると訴えて子供たちに希望を与えた」と説明。英紙ガーディアンによると、マララさんは10日、ツイッターで「支援をありがとう」と感謝のメッセージを出した。
マララさんは1997年、パキスタン北西部スワト地区生まれ。2009年からイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の女子教育抑圧や残虐行為をブログなどで告発し、12年10月、下校途中にTTPに頭部を銃撃された。一時は意識不明の重体となったが、回復し、家族と英中部バーミンガムに住み、学校に通いながら教育の重要性を訴え続けている。
「銃弾で私を黙らせようとするやり方は、失敗に終わった。本とペンこそが最強の武器だ」。頭部を撃ち抜かれながら奇跡的な回復を遂げ、教育の権利確立を訴え続ける少女の姿は、勇気と非暴力の象徴になった。
以前は医師になるのが夢だったが、今は母国の危機を救う政治家を志す。読書好き。昨年出版された自伝「わたしはマララ」には出版社から200万ポンド(約3億5000万円)の契約金の提示を受けたとされる。
■11歳で告発手記
3人姉弟の長女。マララの名は、アフガニスタンで19世紀後半に英国軍と戦い命を落とした勇敢なパシュトゥン人女性「マラライ」にちなむ。
学校を経営し社会活動家としても知られる父、ジアウディンさんの影響を強く受けて育った。英BBC放送に「日記」を寄せ、TTPによる抑圧を告発したのはわずか11歳の時。父の決断があってのことだった。
当時スワト地区ではTTPに抵抗した市民が処刑され、遺体が街にさらされる光景が常態化。遊び場は家の中庭に限られた。パキスタン軍による掃討作戦が始まる09年春ごろには家族離散を余儀なくされ、平穏とは縁遠い生活を送った。
暴力に屈しない「強さ」ばかりが注目されるが、家庭では2人の弟とけんかする子供らしい一面も。パウロ・コエーリョ氏の冒険小説「アルケミスト」と、世界的ベストセラーになった哲学入門書「ソフィーの世界」が愛読書だという。
バラク・オバマ米大統領夫妻やエリザベス英女王らと面会したほか、各種の賞を贈られることも多く、授賞式や講演で海外を飛び回る日々。演説は既に堂に入った力強さで聴衆を引き込む。
女性のノーベル平和賞受賞は16人目。マララさんは昨年もノーベル平和賞の有力候補と目されていた。授賞式は12月10日にオスロで開かれ、賞金800万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)が贈られる。