ただ、バウムガートナーさんがスポンサーから多額の資金を集めて、精巧に造られたカプセルによって上空に運ばれていったのとは対照的に、ユースタス氏は必要最小限の装備だけを準備。撮影用のカメラと交信用のラジオも市販品を利用した。
当然、グーグル側は資金提供を申し出たが、「それでは商業的なイベントとなり、(もし失敗したら)会社に迷惑がかかる」とユースタス氏が拒否。11年に個人的に知り合ったパラゴン・スペース・デベロップメント社の協力を得て計画を進めた。バウムガートナーさんの降下は大々的にインターネット中継されたが、今回は成功が確認されるまで発表を控える段取りが取られた。
慈善事業も手掛け
ユースタス氏は、フロリダ技術大学(現中央フロリダ大学)卒のコンピューター科学者。入学当初はフロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールドでポップコーンやアイスクリームを販売するアルバイトに明け暮れる毎日だったが、「コンピューター科学」に出合ってその面白さに引かれるようになり、この分野で1つの博士号を含む3つの学位を取得。卒業後、IT企業がひしめくシリコンバレーで、米国を代表するコンピューター企業のディジタル・イクイップメント・コーポレーションに就職した。