NHK番組の出演を終え車に乗り込む安倍晋三(しんぞう)首相。番組内で首相は、湯川遥菜(はるな)さんの殺害場面とする画像について「信憑性は高いと言わざるを得ない」と語った=2015年1月25日、東京都千代田区(共同)【拡大】
ただ、妻の名前を読み上げるときは、他にはない変化が声色や話す速度にみられたといい、「感情を抑えきれなかったのだろう。他にはない動揺が見えた」とおもんぱかる。静止画に音声を流すという形式については「映像よりも想像力をかき立てる。画像の効果について相当、計算している」と解説した。
一方、同様に画像を分析した科警研元副所長で鈴木法科学鑑定研究所の鈴木隆雄代表(75)は「声紋はかなり似通っている」とした上で「一部の発音が違い、別人の可能性がある」と分析。反響音が小さく、雑音もないことから、「高性能マイクを使い、雑音や反響音を排したスタジオで録音されたとみられる」という。
焦りがある印象
中東問題の専門家はどう見ているのか。日本エネルギー経済研究所中東研究センターの保坂修司副センター長は「後藤さんとみられる男性の新たな画像と音声はイスラム国が制作した可能性が高い」とした上で、「イスラム国はこうしたケースにおいて、彼らが理解できる言語で人質に話させるのが通例であり、声明が英語であっても不思議はない。イスラム国が用意した文章を後藤さんに読み上げさせた可能性はある」と指摘した。