そもそもJA全中が戦後ずっと守ってきたのは農業で生計を支える主業農家というよりも、農外収入の方が大半を占める第2種兼業農家といわれる。
その兼業農家の多くはすでに65歳を超え、大きな関心事といえば、農地の固定資産税や相続税などの優遇措置や補助金を得る特権の維持・存続である。JA全中やその傘下の農協が、コストや効率、付加価値を高める努力を怠っているのもそうした組織構成員の状況に負うところが大きい。そして、農業に熱心な農家の口からいまだに聞かれる言葉は「全中は戦前の地主と変わらない」というものだ。
こうした現状を踏まえれば、今議論されなければならないのは農政トライアングルの復活ではなく、どうすれば農業を魅力的な産業に変えていけるかである。
農業を成長産業に変える第一歩としてJA全中が脇役に退くのは必然。日本の農業を支えようという主業農家や若者らに早く主役の座を譲るべき時である。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)