甲斐は幼少時代、家族でよく映画館に足を運んだ。「ぼくの家は商売をやっていまして、住み込みの職人さんがいっぱい出入りしていたんです。だから家族だけで過ごすことができるのは週末の映画館。オールナイトを家族で見に行って、その後に食事するというのが毎週の習慣でした。僕はよちよち歩きの子供の頃から映画を見ているので、映画館に行くと母親の胎内にいるような感じなんですよ」。自分の楽曲のプロモーションビデオを制作する際、編集手法からカメラの写し方に至るまですべてに口を出してきたのも、子供時代に培った映像への審美眼がバックボーンとなっていたのだ。
そんな客いないだろう
では、いずれは俳優として映画にも関わろうという気持ちもあったのだろうか。「昔から『映画を撮りませんか』『主演をやってみませんか』というお誘いは何回もいただいていました。20代から30代にかけてです。でも僕はすべてお断りしていたんですよ。僕の興味といえば専ら、すごい俳優たちの素晴らしい演技をスクリーンで見て『おー、すげーなあ』と感動を受けとる方に向いていたんです。あと、僕は現場の流れに合わせてずっと自分の出番を待つことなんかできない性分だし、家族も『絶対に映画俳優に向いていない』と言いますしね」