アカデミー賞授賞式に出席したベネディクト・カンバーバッチ(右)。このほど妊娠も明らかになった婚約者で女優のソフィー・ハンターと仲むつまじい姿をみせた=2015年2月22日、米カリフォルニア州ハリウッド(ロイター)【拡大】
カンバーバッチはチューリングの魅力の一つに「すべての仕事に人間味があり、彼の知識はすべて自分の体験に基づいて得られたものだったこと」を挙げた。例えば、とある人間関係を考察しているうちに、チューリングが暗号解読のヒントを得たのは本作も描いた通り。また、晩年に化学的去勢を受け入れ(女性らしさを作るホルモンの)エストロゲン注射を続けた結果、体調不良に陥ったものの、チューリングは細胞や遺伝子の変化といった生体科学分野の事象についてもインスピレーションを得ている。「人生の大半を秘密や抑圧のもとで過ごした人間であり、秘匿された存在だったからこそ、チューリングは真実とコミュニケーションの意味を生涯求め続けたのだと思います」
あらゆる面で革命的
チューリングの先見の明にも目を見張ったそうだ。「彼は自分の性的傾向に対してはとても正直で、悪いものとは考えず、いずれ後の時代に同性愛が認められるとの姿勢を保っていました。彼は自ら矯正しようともせず、ただ自分自身でありたいと思った人でした。あらゆる面において革命的存在で、斬新で、優秀で、おとなしい。型破りのヒーローですよ」。