エベレスト・ベースキャンプを見渡すクンブ氷河上の丘にたどり着いたトレッキング客たち。この景色を求めて、高山病と戦いながらエベレスト街道を1週間以上かけて歩いてきた。ストリートビューによる仮想体験ははるかに手軽だ=2013年4月16日、ネパール・エベレストベースキャンプ(早坂洋祐撮影)【拡大】
彼らは単眼レンズの三脚カメラ2台のほか、15枚のレンズを搭載した特注の円形カメラ「トレッカー」などを背負い、登山ガイドや荷物運びで生計を立てるヒマラヤ山脈東部のシェルパ族の村々を探訪。4万5000枚ものパノラマ画像を撮影し、それらを元に仮想ツアーのサービスを作り上げた。
グーグルの慈善プログラム「グーグル・アース・アウトリーチ」のプログラム・マネジャー、ローリー・シームスター氏によると、「一行は、こうした最新カメラなどを用い、昨年3月に11日間かけてエベレスト街道をベースキャンプまでたどり、道中、修道院や学校、診療所などの内部も撮影した」という。
「村の苦しさ知って」
しかし、仮想トレッキングツアーの狙いは単に秘境の風景を楽しんでもらうことだけではない。アパさんは12歳で父親を亡くしたため学校を中退し、ポーターとして働かざるを得なかった過去を振り返り、AFPに「世界中の誰もがエベレストを知っているが、周辺の村々の苦しい生活はほとんど知られていない」と指摘。「ストリートビューのおかげで誰もがこうした村々を見ることができ、支援が必要だと理解できるだろう。これを機に、村々に学校や病院を建てる資金が調達されることを期待したい」と訴えた。