昨年6月には、プロジェクトに賛同するラーメン店が考案した、福来みかんの皮を練り込んだ「福来麺」を使ったラーメンの試食会が行われた。これが「ご当地」になるのかと思いきや、「これだけをご当地ラーメンとしないでほしい」とプロジェクト担当者がくぎを刺した。他にも賛同店舗があって、各店が開発したラーメン全てを「ご当地」とするらしい。
しかし、今年3月、1カ月の限定で実施しているラーメンの食べ歩きイベントのリーフレットを見たとき、思わず首をひねった。福来麺を提供している店の紹介に「元祖」の文字。いつの間にか福来麺がご当地ラーメンの「元祖」に位置付けられている。そういえば、年越しにラーメンを食べる文化を定着させようと筑波山神社でふるまわれたのも、この福来麺だった。
担当者は「地域に根付くまでには時間がかかる」とも話していた。むろん、すぐに地元に愛され、大ヒットとなるラーメンができれば、誰も頭を悩ませる必要はない。一部のラーメンを「元祖」として見切り発車するのではなく、アクションを起こすのは全店舗のラーメンが完成してからでも良かったのではないか。長い道のりであるならば。(水戸支局 海老原由紀/SANKEI EXPRESS)