ジレンマや悪循環に陥るものの勝機は有る。わが国に悪さをすれば、あるいは兆候が確実であれば、国際社会が嘲笑するレベルの損害を、中国軍に与え得る軍事力を保有する戦略。月並みだが、抑止力の飛躍的強化と言い換えてもよい。上から目線の中国軍に、自衛隊と交戦すれば弱さが天下に証明されてしまうと、恐れさせるほどの力と覚悟と法体系を持つのだ。
一方、中国軍の砲弾に火薬ならぬ泥が詰まっていれば戦わなくても勝てる…など、敵失を頼む戦法は外道でも、中国相手だとどうしても意識してしまう。香港紙・太陽報は14年、日清戦争の敗因は軍費遣い込みや兵器横流し=腐敗と批判した上で「泥火薬」に言及している。小欄も13年、特殊案件調査班捜査資料を入手した香港の月刊紙・動向などが報じた、自衛隊では有り得ぬ、兵器にまつわる“異大”な数字を紹介した。どれも、高級軍人と地方官僚が結託し「役得の戦利品」を横領、代価を懐に入れる手口だった。