デンマーク艦船を「標的」
ワニン大使の発言は、大使の独断ではなく、ロシア本国の訓令に基づくものと見るのが常識だ。しかし、ロシア当局は常識に反する情報操作工作を展開している。<大使の発言はデンマーク政府の反発を呼んでいるが、ロシアのラジオ局「モスクワのこだま」は「大使はこうした大きな声明を行う権利を付与されていない」とする政権幹部の声を紹介。この幹部は、大事には至らず、大使の独断的な見解だとの見方を示した>(3月22日「産経ニュース」)
ワニン大使の寄稿に対して、デンマーク政府の反発が予想を超える激しさだったので、ロシアとしては、とりあえず「現場の暴走」ということで、事態を沈静化したいのであろう。しかし、このような手法自体がシニカル(冷笑的)で不誠実だ。
15日にロシア全土で放映されたテレビ番組「クリミア、祖国への道」で、プーチン大統領が「ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた」(3月15日露国営ラジオ「ロシアの声」)と述べた。