今年1、2月に特別養子縁組をテーマとした企画で、約10年前に出生後3カ月の男児を迎え入れた夫婦を取材した。夫婦は男児の幼児期から「かーたんも生んだママも、お母さんなんだよ。◯◯(男児の名)が大好き」と伝え続けることで親子関係をはぐくんだ。男児は、あっけらかんと養子であることを受け止め成長。今月、小学5年生になった。
もちろん、家族になるためにはさまざまなハードルがある。煩雑な手続きに始まり、育ての親は子供の「来し方」すべてを受け入れなければならないし、告知が遅れれば親子関係に亀裂が生じることもある。子供も授業で名前の由来などを発表する機会に、生みの母がいないことを再認識するかもしれない。ただ、取材した3人はいずれのハードルも乗り越え、強い家族の絆を感じさせた。
「望まぬ妊娠」などを背景に、13年2月時点で児童養護施設に約3万人、乳児院に約3000人が暮らす。子供の成育環境を考慮し、厚生労働省は里親を中心に「施設偏重」の見直しを進めているが、特別養子縁組という制度が新たな家族像の一つとして広がることを期待したい。