米アカデミー賞授賞式の前日に行われた第30回インディペンデント・スピリット・アワード授賞式。主演男優賞を手中に収め、スピーチに臨むマイケル・キートン=2015年2月21日、米カリフォルニア州サンタモニカ(AP)【拡大】
気づけば演じている
作中、舞台に出演していたトムソンはアクシデントに見舞われ、ブロードウェーの劇場から締め出された結果、パンツ1枚でタイムズスクエアを駆け抜けることを強いられたシーンは圧巻で、トムソンは不名誉の極致を極めたと言っていい。「この演技こそ、俳優のすごいところだと思います。ただ、台本を初めて読んだとき、その行為自体のすごさや周囲の反響はあまり意識に上りませんでした。撮影が始まり、ふと気づくと演じてしまっている。恐らくほとんどの役者が同じように答えるでしょう。せいぜい『あのシーンは今日の撮影だ』と思うだけ。役者とは、一体どんな仕事で、どれだけクレイジーなんでしょうか…」。むしろ、キートンが気になったのは、劇場に戻ったトムソンが下着姿のままでどう演じればいいのかという部分。自分をかわいく思う気持ちなど意識の外に飛んでしまっていた。