「拙速」批判は的外れ
一方、米国はそれまで世界で担ってきた安全保障上の役割を後退させる考えを表明している。日本としては、米国をはじめとする友好国との連携を深め、共同でさまざまな事態に対処するしかないのは自明だ。
一連の審議をめぐっては、野党やメディアの一部からの「拙速」との批判も少なくなかった。ただ、それは彼らの方に決定的に問題意識と危機意識が足りないだけではないのか。
16年前の1999年4月、当選2回の若手議員だった首相は、安保条約改定と集団的自衛権に関して国会でこんな質問をしている。
「国会をめぐる情勢、国会の周りの状況は、39年前は十重二十重(とえはたえ)にデモ隊が取り囲んだ。この39年間の間に国民の意識は大きく変わってきたのだ」
「当時の岸首相が『憲法を見ると、自衛隊が外国まで出かけていってその国を守るという典型的な例は禁止をしているが、集団的自衛権はそういうものだけではない。学説が一致をしているとは思わない。あいまいな点が残っている』と答弁している。首相自らが見解を、自分の責任を取る覚悟で述べている」
首相は今になって急に、事を進めようとしたわけではない。(阿比留瑠比/SANKEI EXPRESS)