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リストラの嵐 報道の質危機 米LAタイムズ、記者ら82人退社へ

2015.11.29 00:00

ロサンゼルス・タイムズ紙の本社前を行き来する人々。米西海岸きっての名門紙にも大量記者減らしの波が押し寄せた=ロサンゼルス(AP)

ロサンゼルス・タイムズ紙の本社前を行き来する人々。米西海岸きっての名門紙にも大量記者減らしの波が押し寄せた=ロサンゼルス(AP)【拡大】

 米有力紙ロサンゼルス・タイムズの記者や編集者82人が今月いっぱいで退社することが分かった。親会社による早期退職者の募集に応じたもので、複数の米メディアが報じた。大量退社により、ほぼ全ての取材部門で人員不足に陥るとみられており、報道の質の維持を危ぶむ声が出ている。インターネットによる報道の伸長で、米新聞業界ではリストラの嵐が吹き荒れ、一向にやむ気配を見せていないが、最近ではデータを打ち込むだけで自動的に記事を作成する「記者ロボット」の出現も記者減らしに拍車をかけている。

 ■名物コラムニストも

 ロサンゼルス・タイムズは1881年創刊の高級紙で、発行部数は約70万部(有料の電子版購読者は含まず)。全米第4位の部数を誇り、特に西海岸で大きな影響力を持っている。

 米CNNによると、退職者が出るのはロンドンやシアトルなど国内外の支局や、ロサンゼルス都市圏、スポーツ、教育、経済、論説など編集部門の幅広い範囲に及んでいる。また、今回の退職者には、36年にわたって執筆していた名物女性コラムニストのサンディ・バンクスさんら著名記者も多数含まれる。

 ロサンゼルス・タイムズは2000年に米新聞・出版大手トリビューンパブリッシングに買収され、部数減少傾向が止まらない中、トリビューンは10月に経営再建のため早期退職者の募集を発表。少なくとも50人の記者・編集者の退職が必要としていた。同じくトリビューンパブリッシング傘下のシカゴ・トリビューン紙でも今月、新聞事業の全従業員の7%に当たる約500人が早期退職に応じている。

 米国では10年前には、新聞社・通信社の記者は約5万2000人いたが、現在では約3万6000人にまで減っている。日本ではこの10年間、記者数が1万9000人から2万1000人の間でほぼ横ばいに推移しているのと比較すると、米国ではドラスティックにリストラが進められていることが分かる。

 ■ライバルはロボット

 その主因は、ネット報道の普及に伴う発行部数や広告収入に減少にあるが、ここにきて、記者ロボットという強力なライバルの登場が記者たちをさらに窮地に追い込んでいる。

 記者ロボットは、まだ定型記事でしか記事を作れないが、数的処理は正確で素早いため、経済の決算記事や世論調査の分析記事などですでに威力を発揮している。AP通信は昨年夏から、メーテッド・インサイツ社(ノースカロライナ州ダラム)が開発した「ワードスミス」というソフトを活用。このソフトを搭載したコンピューター(記者ロボット)が自動で作成した企業の四半期決算のニュースを配信している。その結果、処理が格段にスピードアップし、それまで300社分しか配信できなかったのが、3000社分に10倍増し、しかも人的労力は3分の1で済んだという。また、米誌フォーブスでは、ストレートニュースでも記事を自社風のスタンスで作成するソフトを開発。さらに人工知能の領域に立ち入る記者ロボットの開発にも着手している。

 実はロサンゼルス・タイムズでも記者ロボットが導入され、地震速報の記事作成に活用されている。今後、さらに導入を進める経営方針をめぐり、社内では不協和音が目立っていたとされる。

 名物コラムニストのサンディ・バンクスさんは退職に当たり、読者へのメッセージを紙面とサイトに載せた。その中でバンクスさんは「時代は変わった。これには逆らえない。ただ、ハードワーカーのロサンゼルス・タイムズ記者なら、今後何が起ころうとも記者として生きていける」と述べた。裏を返せば、中途半端では生きていけないということだ。早晩、日本でも似た状況が訪れるのは必至。記者は何をすべきかを常に肝に銘じないとロボットに取って代わられる。

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