「007」シリーズで6代目のジェームズ・ボンド役に抜擢(ばってき)されたのが10年前。「イメージと違う」「金髪のボンドはおかしい」など、熱心なファンたちの手荒い洗礼に当初こそ悩まされもしたが、舞台で培った演技力を武器に正面突破を図ったダニエル・クレイグ(47)は、世界一有名なすご腕のエージェント役を見事に自分のものとしたばかりか、より多くの007ファンを獲得してみせた。
「(第1作の)『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)のとき、ギャグやジョークがふんだんに盛り込まれた脚本を渡されていたら、『僕にはできないし、向いていない』と断っていただろう。自分らしくないことはできないし、誰かをまねすることもできないからね」。10月26日、ロンドンで開催されたクレイグ版ボンドの新作第4弾「007 スペクター」(サム・メンデス監督)のロイヤルプレミアを前に、自らも大のボンドファンというクレイグは現地インタビューに対し、感慨深げに思いを語った。