米グーグルが、今年1月にテスト版の販売を中止した眼鏡型端末「グーグルグラス」を、製造や医療の現場で使用する産業用として新たに開発したことが分かった。グーグルが申請を出した米連邦通信委員会(FCC)が28日に製品の画像を公開した。数週間以内に正式発表されるとの観測も出ている。グーグルグラスはSF映画に登場する“夢の端末”として注目を集めたが、プライバシー侵害の懸念などから事実上の撤退に追い込まれた。新型は形状も完全にリニューアルされており、産業現場に革新を起こす新兵器として再挑戦する。
■骨伝導で手順指示
米国では新しい電子機器を発売する際、FCCに事前申請し、認可を受ける必要がある。FCCは公式サイトで特許などの申請書類に加え、製品の画像を公開。これを受け、海外メディアが一斉に伝えた。報道によると、新型グーグルグラスは「エンタープライズ(企業)版」と呼ばれ、形状は眼鏡型のフレームに画像などを映し出す小型モニターを取り付けた旧タイプから刷新。折りたたみ式で片方の耳にかけるコンパクトな形状になった。モニター部分は旧タイプより大きくなっている。
製造業の生産ラインのほか、発電所といったエネルギー分野、手術などの医療分野での使用に限定。モニターに作業手順などの指示を表示するといった使い方を想定しているとみられる。騒音などに対応し、音声ではなく骨伝導で指示を伝える通信機能を備えているという。
旧タイプよりも硬質の材料を使い頑丈にしたほか、防水効果を高めた。バッテリーの使用可能時間も、2時間程度から大幅に伸ばした。娯楽で使うことは想定していないため、ファッション性やデザイン性の要素は排除したという。
英紙デーリー・メールは28日、既に数百人のグーグル社員が社内で試験使用しており、数週間以内に正式発表されるとの見通しを伝えた。情報を知る関係者は「新型の開発は『プロジェクト・オーラ』と呼ばれ、試作品は当初、3種類あったが2種類に集約された」と明かした。
■来年半ば以降発売か
グーグルグラスは「現実世界とネットの仮想世界の融合」を掲げ2012年に登場。身に着けることができる最先端のウエアラブル端末として注目を集めた。無線でネットにつながり、右目上のモニターには地図などが表示され、音声操作によって通話やメール送信、写真・動画の撮影ができる機能を備えていた。
13年5月にテスト版を技術者向けに提供し、14年4月からは一般にも1500ドル(約18万円)で試験販売した。しかし、当初から盗撮によるプライバシー侵害の懸念が指摘され、映画館などでの使用禁止が相次いだ。自動車運転時の使用の危険性、心身への悪影響といった問題が次々に浮上。対応アプリの開発も進まず、グーグルは消費者の支持を得られないとして、今年1月にテスト版の販売を中止した。その後、ゼロから設計を見直し再挑戦すると伝えられていた。
グーグルは旧タイプでの反省を踏まえ、新型は産業用に限定したようだ。眼鏡型端末の導入による生産効率の向上への期待は大きく、今度こそ実用化されそうだ。グーグルがFCCに提出した資料などから、発売は来年半ば以降になるとみられている。