米大手玩具メーカー「マテル」(本社・カリフォルニア州)は28日、世界的に人気の着せ替え人形「バービー」に、「ぽっちゃり」「長身」「小柄」の3つの体形を新たに追加すると発表した。昨年6月に肌や目の色を多様化させており、“大改革”第2弾となる。マテル社は、米誌「タイム」とコラボレーションして女性の美の価値観や人種の多様化への対応を大々的にアピールする。だが、マテル社は業績低迷が続いており、“大改革”の真の狙いは、違うところにあるようだ。
■肌や目の色に続く大改革
米紙ロサンゼルス・タイムズや米CNNテレビ(いずれも電子版)などによると、マテル社は28日、自社サイトで「バービー」改革の概要を発表した。
1959年に登場したオリジナルのバービーは、(1)すらりとした細身のボディー(2)青い目(3)きれいな金髪-が印象的な白人女性をモデルとしている。今回、マテル社が追加するのは、(1)小柄でかわいらしさを強調したもの(2)ややぽっちゃり体形のもの(3)オリジナルより頭半分ほど長身のもの-の3種類。より現代の女性に近づけたという。
マテル社は「タイム」とタッグを組み、タイム電子版の記事で、その意義付けなどを詳細に説明する記事を掲載。さらに、近く発売される紙のタイム誌最新号では新しいバービーが表紙を飾る。「私の体のことをあれこれいうのはもうやめない?」のコピーも添えられており、意気込みは並々ならぬものがある。
マテル社は昨年6月、現代女性の美の価値観や、人種の多様化に対応するため、肌の色や髪形、髪の色、目の色などが異なる多種多様なバービーを追加。計23種類のバービーが今年1月から店頭に並んだ。間髪入れず今回の改革を打ち出した形で、バービーのラインアップは4つの体形、肌の色7種類、目の色22種類、髪形24種類に増える。今年3月1日から、順次店頭に並ぶという。
マテル社の社長兼最高執行責任者(COO)、リチャード・ディクソン氏(47)は28日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)に「バービーは時代の要求に追い付く必要があったが、今、体形や民族がどうあれ、(消費者にとって)膨大な選択肢を提供できることになった」と、相次ぐ“大改革”の意義を強調し、胸を張った。
■真の狙いは購買層拡大
米の玩具レビューサイト「TTPM」のジム・シルバー編集長は、ロサンゼルス・タイムズ紙に「米国人の半数は白人ではないのだから、バービーにも多様性を要求すべきだ。子供たちは自分に似た人形が欲しいのだから」と述べ、体形や肌の色などを多様化する取り組みを評価する。
とはいえ、マテル社が“大改革”を断行したのは、背に腹はかえられぬ事情もあるようだ。54年創業のマテル社は、バービーの大ヒットで世界最大級の玩具メーカーに成長した。しかし、昨今は、現実離れしたスタイルが嘲笑の的になっているほか、男の子向けの玩具で遊ぶ女の子の増加や、オンラインゲームに押されて業績が悪化。昨年初めにはトップが交代した。
WSJによると、昨年の全世界のバービー売上高は、前年比14%減の約9億ドル(約1千億円)で、1千億円台をキープしたが、2年連続の2桁減。人工知能(AI)を駆使し、持ち主の質問に答える「ハロー・バービー」も手応えはいまひとつだ。
こうした状況だけに、多様化よりも、『あらゆる人種を購買層にしないと、企業が成り立たない』という、お家の事情が“大改革”へ走らせる要因になったことは間違いない。