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「反共」ワレサ氏 実はスパイ?

2016.2.20 00:04

ベネズエラの国会で演説するレフ・ワレサ元大統領。疑惑について即座に反論した=18日、カラカス(AP)

ベネズエラの国会で演説するレフ・ワレサ元大統領。疑惑について即座に反論した=18日、カラカス(AP)【拡大】

  • 1983年6月、グダニスクの造船所でVサインをするレフ・ワレサ元大統領(AP)

 共産党政権当時のポーランドで民主化運動を指揮して、1983年にノーベル平和賞を受賞したレフ・ワレサ元大統領(72)が、1970年~76年、当時の共産党政権の秘密警察のスパイだったことを示すとされる文書が発見されたと、ポーランドの公共機関である国民記録機関(IPN)が18日、発表して物議を醸している。文書にはワレサ氏が情報提供料を受け取ったことを示す直筆のサイン入り領収書が含まれているといい、IPNでは「恐らく本物だ」と胸を張るが、ワレサ氏をめぐるこの種の噂は過去、何度も取り沙汰されており、ワレサ氏自身、今回の文書も「偽物だ」と一蹴している。

 ■領収書に暗号名でサイン

 18日付英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)や米紙ニューヨーク・タイムズ(いずれも電子版)などによると、文書は昨年11月に死去した共産主義時代の政権幹部、チェスワフ・キシチャク氏の自宅で見つかり、今週、未亡人のマリアさんが提供したという。

 ファイルは279ページで、日付は1970年~76年だったが、IPNのトップ、ルカシュ・カミンスキー氏は18日の記者会見で「(彼のスパイとしての暗号名である)『ボレク』と手書きでサインしてある領収書がある」と説明し「彼が情報提供者で、1970年~76年に情報提供料が支払われた証拠で、恐らく本物だろう」と明言。今後、一般公開する考えも示した。

 ■本人憤慨、すぐさま否定

 ワレサ氏は1943年、ポーランド北部の村ポポヴォで生まれ、63年にグダニスク造船所(旧レーニン造船所)で電気技師になった。東西冷戦の真っただ中にあった当時、東欧は旧ソ連の強い影響下にあり、共産党に支配されていた。ポーランドも例外ではなかったが、ワレサ氏は反共産政権を旗印とする民主活動をリードした。

 80年、共産主義国初の自主管理労働組合「連帯」の議長に就任、ポーランドの民主化運動の中心的役割を担った。83年にはノーベル平和賞を受賞、89年にポーランドで無血の民主化を実現し、翌90年~95年まで大統領を務めた。

 今回の資料では、彼が反共運動を本格化させ「連帯」の議長に就くまでの間、共産政権側のスパイを務めていたことになるが、今回のIPNの発表を滞在先のベネズエラで知ったワレサ氏は、すぐさまポーランドの交流サイトに「私の直筆の資料などあるはずがない。今後、法廷で身の潔白を証明する」と憤慨した。

 ■専門家「信憑性に疑問」

 ワレサ氏のスパイ疑惑はこれまでも何度か取り沙汰されてきた。共産主義政権当時に治安機関の情報提供者になると文書に署名したことなどが取り上げられたのだが、ワレサ氏は「(署名はしたが、)実際に提供者として活動したことはない」などと一貫して否定してきた。

 2000年には特別法廷が開かれたが、協力の証拠はないと判断された。それでも08年に同じ疑惑に関する告発本が発売され、その際もワレサ氏は英BBC放送に「私が協力に応じるとした署名などはどこにもない」と反論する騒ぎとなった。

 それだけに今回も、資料の信(しん)憑(ぴょう)性を疑う声が出ている。IPNを代表する歴史家でワレサ研究の専門家であるアントニ・デュデック氏も、今回見つかった資料について18日付AP通信に「『連帯』を設立した1980年以降もスパイだったとする証拠がない限り、インパクトは弱い」と述べ、ワレサ氏のスパイ説に異を唱える。

 他の歴史家や専門家も、民主主義活動の英雄の名誉を傷付けたり、陥れたりするために偽の証拠として、この手の文書を偽造することはよくあることだと指摘。今回、疑惑の証拠とされた資料も、やはり疑がってかかった方がよさそうだ。

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