弱り目にたたり目とは、まさにこのことか。およそ5300万ドル(約60億円)の負債を抱え、金策に血眼の米大物歌手、カニエ・ウェストさん(38)が、今度はアルバム音源流出で、約1000万ドル(約11億3800万円)の損害を被ったことが分かった。流出原因は不明だが、インターネット配信の準備中に外部に漏(ろう)洩(えい)した可能性が高いという。
■発売24時間で50万件
ウェストさんは2004年のデビュー以来、グラミー賞に57回ノミネートされ、21回の受賞経験を持ち、アルバム売上累計は3200万枚に上る世界的なスーパースターだ。妻はモデルで女優のキム・カーダシアンさん(35)。セレブ女優で知られる一人だ。
米経済系ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」や英紙デーリー・メール(電子版)などによると、ウェストさんは約3年ぶりに8作目となる「ザ・ライフ・オブ・パブロ」をリリース。これを米音楽配信サイト「タイダル」が有料で独占配信した。
「タイダル」はストリーミング方式の配信サービスを展開。無料の聞き放題サービスを提供している企業に対抗するため、昨年4月に人気ラップ歌手、ジェイ・Zさん(46)が立ち上げた。無料配信に反発するウェストさんやマドンナさん(57)、ビヨンセさん(34)ら超人気歌手が賛同し、自分たちの新曲を先行リリースしたり、このサイトでしか視聴できない映像を配信したりしている。
ウェストさんも、今回の新作リリースの際、ツイッターに「俺の新作は、アップルでは絶対に買えないぞ!」と投稿するなど、PRしていた。
ところが、発売24時間で約50万件の違法なダウンロードが確認されたという。いずれも違法なダウンロードサイト「ビットトレント」を使っていたとみられる。さらに、ファイル共有サイトでも、約1万人がウェストさんの新作アルバムを“無料”でシェアしていたことも分かった。
新作アルバムの音源がどこから漏洩したのか、詳細は不明だ。だが、当初はウェストさん自身のサイトで販売するはずだったが、製作上のトラブルで発売が1週間延期され、サイトも「タイダル」に変更された。このため、このごたごたの間に、準備していた音源が外部に流出したとみられている。
米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)は、当初、ウェストさんは新作を20ドル(約2300円)でDL販売するつもりだったので、50万件の違法DLで約1000万ドルの収入が吹き飛んだと報じた。
■事業は全て低迷
ウェストさんはここ数年、芸能活動より、トラブルなどで名前が登場するケースが目立つ。知名度を生かし、飲食店やファッション店など手広く事業に乗り出したが、全て低迷した状態。とうとう負債が5300万ドルにまで膨れ上がり、米フェイスブックの最高経営責任者(CEO)、マーク・ザッカーバーグさん(31)に「俺のアイデアに10億ドルを投資してくれ! 俺は世界を助けたいし、俺も助けが必要だ」と懇願したが、一蹴されたという。
さらに、新作アルバムに収録された「フェイマス」の歌詞に、人気絶頂の女性歌手、テイラー・スウィフトさん(26)を侮辱する一節があり、確執を芸能メディアに大きく取り上げられた。その上、米ゴシップサイトが、ライブ番組出演前にスウィフトさんを罵倒するウェストさんの音声を暴露、大顰蹙(ひんしゅく)を買った。
このまま、貧すれば…のことわざを地でいくのか、それとも名声を取り戻すのか。神のみぞ知る、である。