中身で勝負! ボディ剛性アップがクラウンの走りを変えた!

提供:clicccar

 トヨタ自動車が10月1日にクラウン ロイヤル/アスリートシリーズのマイナーチェンジを発表しました。

 外観の変更は限定的ながらも、中身は大幅に改良が加えられているようで、その代表例は何と言っても「走りの質感」に大きな影響力を与えるボディ剛性の向上でしょう。

 ボディシェル剛性の高さは、足回りからの入力に伴うボディ骨格の歪み低減に効果的で、サスペンションが本来の性能を発揮するようになります。

 今回のマイナーチェンジではカウル廻りやBピラー下部、フロントアンダーボディ廻り、ロッカーパネル下面接合部にスポット溶接を追加すると共に、構造用接着剤をリヤボディ廻りを中心に追加しています。

 こうした手法は同社が「G's」で従来から実施しているものですが、量産モデルで標準仕様とするには生産タクトの兼ね合いから、これまでは実現が困難とされて来ました。

 今回のマイナーチェンジを指揮した秋山晃チーフエンジニアによれば、生産部門を説得するために試作車を仕立ててその効果を実車で示したそうです。

 その過程ではどの部位にスポット溶接を追加すれば効果的かを絞り込むため、想定される箇所全てに穴を開け、そこをビス留めしたあと、一つ一つビスを外しては取り付け、実走行による評価を繰り返したとか。

 これはハッキリ言って相当根気の要る作業ですが、結果的に90カ所以上に及ぶスポット溶接の増し打ちを追加、これに伴いマイナーチェンジでは異例となる新たな設備導入を行ったそうです。

 こうした苦労を経てボディ接合剛性を高めたことにより、路面の凹凸などから伝わる振動を抑え、走行時やコーナリング時の安定感やステアリングの応答性が各段に向上したと言います。

 そしてクラウンの走りを変えたもう一つの改良が「いなしサスペンション」。

 荒れた路面ではタイヤで吸収しきれない振動が発生、ボディに振動が伝わってしまいますが、「いなしサスペンション」ではリヤサスペンションのアッパーアームに開断面構造を設け、捩じり剛性を最適化。

 バネ下を積極的に動かすことでボディ側に振動が伝わらないようにコントロールしています。

 また旋回時の安定性を確保するためにフロントのタイロッドエンドと、リヤのトーコントロールアームの剛性をチューニング。

 フロントは横力に対して「トーアウト」方行へ向きやすく、リヤは「トーイン」方向へ向きやすくすることで、車両安定性と張りのあるグリップ感を実現しています。

 中でも「アスリート」にはレクサスのSUV「NX」にも採用されている8AR-FTS型2.0L直4ターボエンジン(最高出力235ps/最大トルク35.7kgm)が追加設定されたのも大きなニュースと言えそうです。

 低回転から高回転まで全域にわたり高トルクを発生、低速での扱い易さ、気持ち良い中間加速フィーリングに加えて、低燃費(JC08モード13.4km/L)をプラスした高性能エンジンで、「アスリート」シリーズに爽快な走りをもたらします。

 今回のマイナーチェンジにおける秋山晃チーフエンジニアの思いはこれまでの「いつかはクラウン」から「今こそクラウン」、「僕らの世代のクラウン」への変革にあるそうで、そうした想いが鮮やかなボディカラー追加などにも表れているようです。

 「走りの質感」を高めた新型クラウン アスリートシリーズの車両価格は2.0ターボモデルが388万円からとなっています。(店頭発表会は10月10日-10月12日)

 (Avanti Yasunori)