「初号機」自慢の京都鉄道博物館 新幹線や蒸気機関車など見どころ満載!

 
29日のオープンを前に報道陣向けに行われた京都鉄道博物館の内覧会=1日午後、京都市下京区(志儀駒貴撮影)

【鉄道ファン必見】

 JR西日本は29日、国内最大級の鉄道展示施設「京都鉄道博物館」(京都市下京区)をオープンさせる。昨年8月に閉館した梅小路蒸気機関車館をリニューアル。総事業費約70億円を投じ、蒸気機関車(SL)から新幹線まで鉄道車両53両を展示。「見る、さわる、体験する」ことで、子供から大人まで鉄道を楽しく学べる施設だ。鉄道の歴史に加え、体験コーナーやジオラマなど見所満載の博物館を一足早く紹介したい。(西川博明)

 1階は豪華53両を一堂に

 京都駅から徒歩約20分。緑が広がる梅小路公園の奧にあるのが、お目当ての京都鉄道博物館だ。

 さっそく中へ。プロムナード(全長約100メートル)では、前回の東京五輪があった昭和39年から東京-新大阪間を往復した新幹線の元祖「0系」の製造1号車をはじめ、戦後初の長距離列車「80系電車」、シロクニの愛称で親しまれた「C62形」蒸気機関車(SL)などが出迎えてくれる。

 寝台特急「ブルートレイン」の食堂車では、弁当箱付きの「ウメテツランチBOX」(1500円)や「昔ながらの幕の内弁当」(1100円)といった弁当類を購入できる。

 大正3(1914)年の2代目京都駅のホーム上屋を再利用した空間に展示される豪華列車「トワイライトエクスプレス」の車両などを横目に、本館1階へ。初めて時速300キロの営業運転を行った500系新幹線、特急「雷鳥」の車両といったJR西を代表する車両が勢ぞろい。

 今春に国の重要文化財に指定された国産初の量産型蒸気機関車「230形233号機」も並んで姿をみせる。

 中には真下から見学できる車両もある。1階奧の車両工場には引き込み線があり、展示する車両を定期的に入れ替える計画だ。

 携帯電話がない昭和30~40年代の駅舎を再現し、待ち合わせで使われた伝言板など、レトロ感たっぷりの展示も。ブレーキや集電装置(パンタグラフ)などの「車両のしくみ」や、線路点検で社員らがレール上を人力で移動する軌道自転車といった「鉄道の施設」をそれぞれ体験できるコーナーも充実させた。

 野外にある「SLひろば」では、扇形車庫にSL20両がずらりと並ぶ姿が圧巻だ。大きな汽笛を鳴らす本物の蒸気機関車が牽引する客車「SLスチーム号」(一般300円、中学生以下100円)に乗車できるコーナーもあり、SLの迫力を五感で楽しめる。

 「安全」PR…眺望抜群

 次はエスカレーターで本館2階へ。平成26年4月に閉館した大阪・弁天町の交通科学博物館にもあった「鉄道ジオラマ」(幅約30メートル、奥行き約10メートル)がリニューアルした形で設置された。実物車両の80分の1スケールの鉄道模型を通じ、鉄道の1日の運行状況を見学することができる。

 弁天町、梅小路の旧展示施設にはなかったコーナーで“目玉”となりそうなのが、ゲーム感覚で楽しめる体験施設だ。

 実際の運転士が訓練で使う「運転シュミレータ」は在来線、新幹線の2タイプを用意。整理券をもらって順番がくれば、運転士気分で操作が可能だ。実際に運転士が使うアルコール検知器なども使うことができる。

 また、タカラトミーが寄贈した「キッズパーク」の近くには、主に子供向けを想定し、模型を走らせて運転体験できる「列車を安全に走らせよう」コーナーがある。平成17年4月のJR福知山線脱線事故の教訓もあり、鉄道事業の最優先課題「安全」への取り組みを訴える展示という。

 このほか、食や映像、音楽など「鉄道と文化」を紹介するコーナーや、関西私鉄各社の歴史を紹介する展示コーナーを設置。連絡デッキを渡ると、上からSLの展示や補修風景を見学できる空間も用意した。

 さらに3階へ。展望施設「スカイテラス」は、世界遺産の東寺五重塔、京都タワーを一望できるパノラマ風景が広がる中、新幹線から在来線まで運行され、2階の「鉄道ジオラマ」以上に本物の興奮が味わえる。

 休憩は2階にある約250席あるレストランで。窓から京都の景色を眺めながら、「梅小路扇形車庫カレー」(1千円)や「ドクターイエローオムライス」(同)など約10種類の食事を楽しめる。

 お土産は、出口付近にある明治37(1904)年建設の京都市指定有形文化財、旧二条駅舎で購入できる。ここには「ミュージアムショップ」が設置され、同館オリジナルの八ッ橋(540円)や「プラレール京都鉄道博物館スペシャルセット」(4752円)など約2千点の商品を販売する。

 梅小路の活性化に一役

 JR西によると、京都鉄道博物館は延べ床面積約3万平方メートル。車両53両を含め約7万5千点を展示し、鉄道の歴史や文化などを紹介する施設だ。JR東日本、JR東海がそれぞれ運営する鉄道博物館に比べると、「展示車両で初号機が多いのが特徴」(JR西関係者)と展示の“質”の面で自信を示す。

 また、弁天町の交通科学博物館では鉄道以外の乗り物の展示物もあったが、新しい京都鉄道博物館では、鉄道関連の展示に絞り込んだ。

 弁天町の交通科学博物館は年間30万人、梅小路蒸気機関車館は同25万人が訪れた。JR西は、両館の良さを融合した京都鉄道博物館の集客に期待を寄せており、開業から30年間で、年平均の入場者数が両館の実績を大きく上回る80万人を計画。初年度の目標入場者数について、三浦英之館長は「120万~130万人を目指したい」と語る。

 JR西は、京都駅前で比較的にぎわいが少なかった梅小路エリアの活性化に貢献しようと、京都水族館を運営するオリックス水族館をはじめ、オムロン、京都銀行、京都中央信用金庫、タキイ種苗など23の地元企業・団体と「京都・梅小路まちづくり推進協議会」を設立。京都市立芸術大の学生がデザインしたモニュメントを京都駅-梅小路公園の約1~2キロ間に設置するなど、まちづくりにも力を入れている。周辺の商店街では「鉄道博物館開業」のPRポスターを貼る店頭も増えてきた。

 入場料は1200円(大学・高校生1千円、小中学生500円、3歳以上の幼児200円)。

 JR西の真鍋精志社長は「国際観光都市の京都で、大人だけでなく子供も1日中楽しめる場所にしたい」と新博物館への思いを語る。3年後の31年には同博物館近くに新駅を開業し、交通アクセスも便利になる見通し。京都の「新名所」として注目度が増すことは間違いなさそうだ。