ボルボV40がマイナーチェンジ 外はクールに、中はオシャレに 運転してわかった人気の秘密

 
ボルボの新型V40

 ボルボ・カー・ジャパンが人気のプレミアム・ショートワゴン「V40」を一部改良し、5日より販売開始した。新世代ボルボの象徴であるトールハンマー型のLEDヘッドライトを採用するなど外装デザインを変更し、世界で初めて導入した歩行者エアバッグを標準装備とした。さっそく試乗する機会があったので、その様子も合わせてレポートする。(文・写真 大竹信生)

 2013年2月に日本市場に投入された現行型V40は、今年6月末までに累計約2万7000台を販売した人気車種だ。そんなボルボの“顔”がフェイスリフトを実施した。

 ひときわ目を引くのは、北欧神話に登場する「トールハンマー」をモチーフにしたLEDヘッドライト。真っ白で太い横向きT字型のポジションライトが特徴的なデザインは、新型ラグジュアリーSUV「XC90」や次期型「V90」にも採用したボルボブランドの新たなアイコンだ。

 フロントグリルはグレード別に4タイプを用意した。ボルボのエンブレムであるアイアンマークも、「VOLVO」の文字が刻印してあるプレートの背景色がブルーからブラックに変わり、右斜め上を向く矢印の形も変更。新世代ボルボのデザインを取り入れたV40のフロントフェイスは、全体的に精悍な顔つきに生まれ変わった。

 インテリアは「シティ・ウィーブ」と名付けたモダンなチェック柄ファブリックシートや、アンバー色のレザーシートを採用。グレード体系も量産モデルからスポーツタイプまで見直し、3タイプのエンジン(1.5Lと2.0Lのガソリンエンジン、2.0Lのディーゼルエンジン)を組み合わせることでラインアップを拡充。ユーザーの多様なニーズに対応した。

 今回の発表イベントでは、約80分の試乗会も行われた。記者は1.5リッターガソリンターボエンジンを積む「T3 Momentum」をチョイス。試乗ルートは自由なので、原宿駅周辺から表参道、青山を経由して神宮外苑まで走ってみた。今回のマイチェンは外装のみとのことだが、やはり格好良さが増した新車の走りは気になる。

 運転席からの視界はとてもいい。シートは硬めで体をしっかりとサポート。アクセルを踏むと低速域でもトルクの太さをしっかりと感じる。それにしても滑らかなエンジンだ。周りにクルマがいない状況でアクセルを踏み込んでみたが、いつターボが効き始めたのか正直よく分からなかったほどだ。レスポンスもいいので、交通量の多い都内でも気持ち良く乗ることができる。ハンドリングもスムーズ。先日試乗したV60と比較してかなりのコンパクトボディーなので、こちらの方がキビキビと軽快に走ってくれる。とても街乗りが楽しくなるクルマだ。

 フェイスリフトの効果なのか、真っ赤なボディが目立つからなのか、原宿の交差点など人通りの多い場所でけっこう視線を感じた。分かる人には「何かが違うゾ」と感じ取ってもらえるようだ。

 細めのハンドルは握ったときにしっくりくるので何となく落ち着くし、見た目も上品でとても気に入った。運転席周りのスイッチ類の配置や操作性も素晴らしい。ライトカラーのチェック柄シートは車内を明るい雰囲気にしてくれる。ここに座っていると、自然と明るい気持ちになってくる。

 コンパクトだから、細い道に入っても神経を使うことなくスイスイと走れる。安全装備も充実している。もちろん試す機会はなかったが、歩行者エアバッグが標準装備なのも嬉しい。

 後部座席にも座ってみたが、圧迫感はあまりない。アームレストを下ろして自分のスペースを作り、すっぽりと収まってみたが、これが想像以上に落ち着く。背面はけっこうアップライト。個人的にはもう少し寝かせたほうが好みかも。

 市街地を運転しただけとはいえ、V40の操縦安定性には感心するばかり。まるでドライバーと会話でもしているかのように、こちらの要求に気持ち良く呼応する。低速域でも力強く、滑らかで機敏。おしゃれな北欧デザインもボルボならでは。そして、一番肝心なのは「とにかく運転しやすい」ということ。短時間の試乗でもこのクルマの魅力が十分に伝わってきた。