【試乗インプレ】速い、快適、コスパも最高! スズキの新型スイフト「ハイブリッド RS」(後編)

 
220キロまで刻まれた速度計。盤面にはレコード盤のようにスピンドル加工が施されている

 スズキが1月に主力小型車「スイフト」を6年ぶりに全面改良して発売した。注目ポイントの一つは、マイルドハイブリッドと呼ばれるHVシステム搭載車をラインアップに追加したことだ。前編ではスポーティーな専用チューニングを施した「ハイブリッド RS」の走行性能を試したが、今週は内外装や先進安全装備、使い勝手をチェックしていく。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)

 “らしさ”継承、そしてもっとアグレッシブに

 まずはエクステリアだが、ふっくら厚みのあるボディとフロントガラスがやや起き上がった箱型キャビンは4代目になっても健在。クルマ好きなら誰がどこから見ても「あ、スイフトだ」と直感できるスタイリングをしっかりと継承している。外形寸法は全長3840ミリ×全幅1695ミリ×全高1500ミリ(4WDは1525ミリ)。先代モデルと比較して全長と全高がそれぞれ-10ミリとなり、全体的にさらにコンパクトになった。全幅は5ナンバーサイズに合わせて先代と変わらないが、タイヤを覆うフェンダーやリヤコンビランプの張り出しが強調されることでロー&ワイドのアグレッシブな印象が強くなり、フロントからリヤにかけて描く曲線のシルエットが筋肉質で敏捷な動物を連想させる。

 試乗車は「RS」というスポーティーなグレードで、赤いラインが水平に入る専用グリルやスポイラー、切削加工した16インチアルミホイールを装備。暗がりで自動点灯するオートライト付きのLEDヘッドランプやリヤフォグランプも採用している。

 フロントガラスの両端を支えるAピラーは、目立たないようブラックアウト処理を施しており、後端のCピラーの一部も黒塗りすることで、まるでルーフが宙に浮いているかのような先進的なデザインとなっている。また、リヤのドアハンドルをCピラーの黒塗り部分に自然と溶け込ませることで、一見3ドアのようなスポーティーさを演出している。

 塗装は高級車並み!?

 試乗車のボディカラーは2万1600円高の「バーニングレッドパールメタリック」という特別色。一般的なカラーは顔料とクリアーの2層塗装だが、「バーニングレッド-」は4層の膜で構成することで、いま流行りの「深み」と「鮮やかさ」の両立を実現している。ちなみにレクサスはヒートブルーコントラストレイヤリングというカラーで6層マツダの人気色ソウルレッドは3層塗装など、メーカーごとに複層工程を用いて個性的なカラーを作り出している。「バーニングレッド-」を眺めていると、とても170万円を切るクルマには見えないくらいに艶やかさと質感の高さを感じた。

 次にインテリアを見てみよう。スポーツシートは想像通りに硬く仕上げてありホールド性はバッチリ。硬くて沈み込みが少ないということは、クルマの動きに対して体が常に固定され、長時間ドライブでも肉体的負担が軽く済むということ。実際に運転してみると体のブレが少なく姿勢が安定し、頭が振れないことで視界も良好。おまけに座り心地もいい。運転席にはひじ掛けも付いており、特に高速道で重宝した。ハンドルを左右に切るワインディングでは左ひじと干渉するので、その時はひじ掛けを畳むのがベター。筆者は靴のサイズが27~28センチと大きいのだが、特につま先が引っかかることもなく、ペダル周辺のレッグスペースに不満は一切なし。頭部のクリアランスも十分で、前席の居住スペースはかなり快適だった。

 シンプルで落ち着きのある運転席回り

 コックピット周辺は非常にシンプルな印象で小ぎれいにまとめられており、運転に集中しやすい落ち着きのある空間だ。アップライトのフロントガラスは上下左右に広々と大きい印象で、小型車にしては開放感たっぷり。インパネはスポーティーな2眼メーターを採用している。速度計は220キロスケールで、回転計は6300rpmからレッドゾーンに入る。盤面にはレコード盤のような円状のグルーブが刻み込まれており(スピンドル加工)、そのあまりの美しさにアップ写真をいろんな角度から撮ってしまった。

 センターコンソールは5度ほど運転席側に傾けて配置している。ハンドルはリムの下部を水平にカットした「D型」を採用しており、運転中や乗り降りの際に膝と干渉しないよう配慮。ドライバーを中心に設計したクルマだということがビシビシと伝わってくる。ハンドルやダッシュボードには光沢を抑えたシルバーの加飾を施しており、控えめながらも楽しくスポーティーな走りを予感させる。

 計器類、エアコンスイッチ、吹き出し口などは円筒モチーフで統一。4.2インチのタッチパネル式ディスプレイは指の動きに対する感度が高く、操作性も含めてとても使いやすかった。USBポートもあるのでスマホの充電はもちろん、アップルのカープレイにも対応している。

 後席にも座ってみる。居住スペースはこのサイズでトップクラスの広さを誇る日産・ノートやホンダ・フィットには敵わないが、それでも頭上や足元の広さは必要十分。これには先代比較で20ミリ長くなったホイールベースや、部品の配置を最適化した新プラットフォーム「ハーテクト」が大きく貢献している。これなら大人4名での乗車も快適なはずだ。言うまでもないが、5人乗車は緊急時にとどめておこう。

 荷室はタイヤハウスの張り出しや開口部の高さを抑えるなど荷物を積み込みやすい形状で、265リットルの容量を確保している。小型のスーツケースが2つほど入るほか、6:4の可倒式リヤシートを倒せば長尺モノも積むこともできる。1泊2日程度の小旅行などちょっとしたレジャーが楽しめそうだ。

 安全装備はなんでも検知?

 先進安全技術も充実している。単眼カメラとレーザーレーダーの2つのセンサーを組み合わせて前方を検知する「デュアルセンサーブレーキサポート」を採用することで、自動ブレーキやレーン逸脱警報、ハイビーム/ロービームの自動切り換えや先行車発進お知らせ機能の搭載を可能にしている。ちなみに単眼カメラは中長距離に強く歩行者の認識にも優れており、レーザーレーダーは近距離や夜間の検知を得意としている。これらはすべて「セーフティーパッケージ」に含まれている。残念ながらメーカーオプション設定となるが、10万円以下で装備可能。「ハイブリッド RS」にパッケージを追加しても180万円以下に抑えることができる。前編でチェックした走行性能や燃費性能を考えるとコスパは非常に高い。

 実は宮ヶ瀬湖に架かる虹の大橋の手前を単独走行中になぜか自動ブレーキが作動したのだが、もしかすると「幽霊も検知するのか?」と驚いてしまった(虹の大橋が気になる方は検索を)。まあ、個人的には小動物だったと信じたい。

 先代よりコンパクトでありながらも4人乗車時の居住性と運動性能を両立し、27.4キロ/リットルという燃費の良さも実現している。「RS」は専用チューニングを施してさらにスポーツ性能を磨いたのだから、開発陣の相当な苦労が窺い知れる。前編でも書いたが、やはりこのクルマの最大の魅力は、大幅な軽量化とHVシステムから享受するスポーティーでエコな走りではないだろうか。同じ価格帯にいろんな種類のコンパクトカーが競合しているが、クルマを操る楽しさを求めるのなら、スイフトをぜひ試乗してほしいと思う。個人的にはガソリンモデルの走りも気になる。スポーツ性能を最大限に特化させた4代目「スイフトスポーツ」の導入にも期待したいところだ。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)

■主なスペック スズキ・スイフト「ハイブリッド RS」(試乗車)

全長×全幅×全高:3840×1695×1500ミリ

ホイールベース:2450ミリ

車両重量:910キロ

エンジン:水冷4サイクル直列4気筒

総排気量:1.242リットル

最高出力:67kW(91ps)/6000rpm

最大トルク:118Nm(12.0kgm)/4400rpm

トランスミッション:CVT

駆動方式:前輪駆動

タイヤサイズ:185/55R16

定員:5名

最小回転半径:4.8メートル

燃料タンク容量:37リットル

燃料消費率(JC08モード):27.4キロ/リットル

車両本体価格:169万1280円(税込み)