〈ステータスがなくても〉快適なフライトをあきらめないで

CAのここだけの話♪
辻本亜依良さん

 前回からSankeiBizでスタートした新企画、客室乗務員(CA)による「ここだけ」の話。第2回はCA暦10年以上、欧米と日系のエアラインを経験している辻本亜依良がお送り致します。

 私たちCAはお客様に機内で快適におくつろぎいただけるよう、常に気を配っています。でも、出張などで飛行機に乗られた際、他の方のほうがより良いサービスを受けられているのをご覧になり、不思議に思われたことはありませんか? たとえば、機内への優先搭乗ができたり、スペースのある座席に座っていたり、機内食のオーダーを先に聞かれていたりして、不公平だなと感じられたことはないでしょうか。ビジネスマンの方なら既にご存知のことと思いますが、航空会社を利用してマイレージを貯めればステータスメンバーとなり、旅行中の色々な場面でお得なサービスが受けられます。でも、国内出張が多い方や、海外出張があってもアジア圏内の出張が多い方、または毎回違う航空会社をご利用の方だと、マイレージを貯めて高いステータスを得るのは大変なことだとお察しします。

 今回は、旅上手なCA目線の「ステータスがなくてもフライトを快適に過せる秘密」をご紹介致します。

▽ステータスメンバーへの特別なサービスについて

 まずはステータスメンバーだとどのような待遇が受けられるのかをご紹介します。

 ・優先的に座席を購入できる

 ・優先的にチェックインできる(オンライン/空港カウンター)

 ・キャンセル待ちの場合は、優先順位が上の方になる

 ・セキュリティーチェックで優先レーンへアクセスできる

 ・航空会社のラウンジへアクセスすることができる

 ・機内への優先搭乗ができる

 ・好きな機内食のメニューを食べられる

 ・優先的に降機できる

 ・預け手荷物が早く出てくる

 これだけの特典があれば、混雑時でも列に並んで待たされることなく、機内でも空港でもリラックスして過ごせるでしょう。

 でも、ステータスメンバーでないお客様でも快適なフライトをあきらめることはありません。

▽良い座席の選び方

 長時間過ごす自分の座席では、できるだけくつろぎたいですよね。国際線ビジネスクラスの座席であれば、ほとんどの航空会社で座席が180度フラットのベッドになるので、それほどの心配はありません。一方エコノミークラスの場合は、窓側や通路側ならまだしも、真ん中の座席になってしまうとパーソナルスペース(他人との距離感)で窮屈に感じたりトイレへ行くタイミングを心配してしまったり、フライト中にストレスを感じてしまうものです。

 まずは、ご自身が機内でどのように過ごしたいのかプライオリティーをつけてみましょう。長距離便でトイレへのアクセスが重要であれば通路側、外の景色を楽しみたい方は窓側を希望されるでしょうが、私の場合は「パーソナルスペース」が重要なので、周りに人がいない座席を希望します。

 機内で座席の移動をお申し出くださるお客様は多いのですが、航空会社によっては、空席があっても飛行機のウェイトバランスのため座席移動できない場合もあります。また私たちCAは、運送約款に基づき、積極的にお客様の座席移動は行いません。飛行機に乗られた後の座席移動は最終手段ですが、満席の際にはあきらめて頂くほかない場合もあります。

 でも待ってください! 以下の方法で座席は前もって確保できるかもしれません。

 (1)予約時に希望座席を購入する

 この時点で希望の座席を選べる航空券を購入すれば、確実にお好みの座席を確保できます。

 (2)早めのオンラインチェックインで座席指定する

 残っている座席の一部と、機内後方のエリアがオンラインチェックイン時に座席指定可能です。“早い者勝ち”なので早めのチェックインをおすすめします。航空会社によって異なりますが、非常口座席は当日に解放されることもありますのでこまめにチェックすることをおすすめします。

 (3)当日空港のカウンターで確認する

 手荷物をカウンターで預ける際に、地上係員の方に希望の座席を伝えて確認してみましょう。私のようにパーソナルスペースを重視される方はこの段階で確認すると希望の座席に座れることも多いですよ。

 (4)搭乗ゲートでさらに確認する

 チェックインはしたものの、搭乗を取りやめたノーショウ(no show)のお客様がいらっしゃる場合や、乗り継ぎ便の遅延などで間に合わないお客様もいらっしゃいます。最終確認は搭乗ゲートで、ボーディングが始まる前に確認してみましょう。

▽希望の機内食を確実に選ぶには

 CAはすべてのお客様がご希望通りにメニューをお選び頂けるよう、努力と工夫をしておりますが、あいにくお食事の種類には限りがあり、ご希望のメニューをお出しできない場合もあります。

 ビジネスクラス、エコノミークラスにかかわらず、機内食のチョイスは前方からお伺いするため、機内食にこだわりのある方はなるべく前方にお座りください。万が一座席が後方でも、希望の機内食を選ぶには2つの方法があります。

 (1)スペシャルミールをオーダーする

 宗教的な理由やアレルギーが理由でオーダーされることがほとんどですが、スペシャルミールは誰でもオーダーできます。ベジタリアンミールやキッズミールだけではなく、フルーツプレートやシーフードミールなど最近はバリエーションが増えています。また、機内食のメニューを事前にウェブサイトなどでご覧頂き、自分のチョイスをあらかじめ航空会社にオーダーできる「プリオーダーミール」のシステムを導入している航空会社も多くなっています。

 (2)サービスが始まる前にCAにお申し出頂く

 機内食のメニューのご案内はアナウンスで離陸直後に行われることが多いです。たとえば、和食と洋食のチョイスで、和食をご希望だとします。エコノミークラスの後方座席にお座りで、機内食のサービスはまだかまだかと首を長くして待っていたのに、「洋食しか残っていない」と言われると、がっかりしてしまいますよね。お食事に対するこだわりがある方にとっては致命的! フライト全体の印象が悪くなってしまうことでしょう。私たちはお客様ががっかりするお顔を見たくはありません。どうしても和食を召し上がりたいのであれば、メニューのアナウンスからサービスが始まる前までにどうぞご遠慮なくCAにお申し出ください。

 ビジネスクラスの場合は、原則として皆さまのご希望通りにお食事をお出しするものですが、こちらも全てのメニューがお客様全員の分だけ搭載されている訳ではありません。万が一、後方座席でご希望のメニューが残っていない場合は、どれだけ和食が食べたいのかを教えてください。CAは職業柄食べることが好きな人が多いので、そのお気持ちはよく分かります。機内ではメニューのオーダーをアレンジすることもできますので、ぜひご相談させてください。

 このようにステータスが無くても、自分の希望を叶えて快適に過ごす方法はたくさんあります。飛行機をご利用頂くと決まった時点からあなたの旅行は始まっています。しっかり準備をなさって、機内ではゆったりとおくつろぎください。

【プロフィル】辻本亜依良

 つじもと・あいら 高校でオーストラリアに1年間留学。大学卒業後はアメリカの航空会社でCAとして勤務。その後日系の航空会社へ転職し日本人らしいおもてなしや機内サービスをみっちりと習得する。現在はフィンランドの航空会社に勤務して5年目。旅行とインテリアコーディネートが好きで、ステイ中は北欧デザインを写真に収めSNSやブログで紹介している。

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 このコーナーは株式会社AirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。内容は随時更新します。エアソルはPR、商品開発、通訳、現地リサーチ、ライター業務等、現役CAの特性を活かせるお仕事を副業としてご紹介しています。