阪神電車「なんで巨人カラー」「分かりづらい」京阪 私鉄各社に寄せられる株主の不満

 
平成13年からのリニューアルで、色が変わった阪神電気鉄道の「8000系」車両

 関西の私鉄各社が6月中~下旬にそれぞれ開いた株主総会。抱える経営課題は違えども、株主からの意見には共通するテーマもあった。運行する車両の色だ。各社ともダイヤ改正や新たなイメージ戦略策定などに合わせて色を変えてきたが、ふだんから電車を利用する株主の間には実は不満もある。理由はさまざま。たかが色、されど色なのだ。(産経新聞社 織田淳嗣)

屈辱のオレンジ

 「名前も言いたくない『あの球団』の色を変えることはできないでしょうか」

 6月13日、梅田芸術劇場(大阪市北区)で開かれた阪急阪神ホールディングスの株主総会。傘下の阪神電気鉄道の急行車両の主力「8000系」「9300系」がオレンジ色に塗装されていることについて男性株主から苦言が呈された。プロ野球阪神タイガースのライバルである巨人のチームカラーを連想させる-というのが理由だ。

 阪神電鉄によると「甲子園球場で阪神が巨人に負けたのを観た後に、オレンジ色の電車で帰宅するのは苦痛」との声は以前からあるという。

 そんな“憎いオレンジ色”の9300系は、平成13年3月のダイヤ改正に合わせて登場。クリーム色と朱色のツートンカラーで「赤胴(あかどう)車」と呼ばれた8000系も同時期に明るいオレンジ色と白に近いベージュのツートンカラーに変更を始め、27年10月にすべて新色になった。

 オレンジ色批判に対し、株主総会で阪神電鉄の岡田信・常務取締役は「社内で検討した結果選定した色で、変更の予定はない」としつつも「次のリニューアルでは、社内で議論したい」と含みを持たせた。

「分かりづらい」京阪

 車体上部に濃緑色、帯は黄緑色、車体下部は白色-。京阪電気鉄道は今年度内に、滋賀県を走る「大津線」の車両をすべて京阪本線と同じカラーにする。塗装作業を順次進めているところだ。

 しかし、親会社の京阪ホールディングスが6月20日にグランキューブ大阪(大阪市北区)で開いた株主総会では「車両の見分けがつかなくなる」と反対する意見が出された。「浜大津駅で乗るとき、来た電車が京津線か石山坂本線か分かりづらい」からだ。

 大津線は御陵-浜大津間から京都市営地下鉄東西線に直通の「京津線」と、石山寺-坂本間の「石山坂本線」からなる。京津線の車両はパステルブルーの「800系」で、石山坂本線は主に若草色と青緑色のツートンカラーの「600系」と「700系」。これらの車両がすべて同じデザインになると一目瞭然とはいかず、車体の識別マークを確認する必要がある。

 会社側は、デザインの統一について「沿線外のお客さまが電車を見て『京阪が走っているんだ』ということを認識いただける」と説明。通勤・通学客だけでなく観光客にも「大阪、京都、琵琶湖畔を結ぶ電車」としての京阪のイメージを植え付け、乗客増につなげる狙いがあるという。

沿線の美意識

 近鉄ホールディングスが22日にシェラトン都ホテル大阪(大阪市天王寺区)で開いた株主総会では、「美意識」が問題に。傘下の近畿日本鉄道の車両について男性株主が「赤色と白色の連結はやめてほしい」と主張した。

 近鉄電車は「近鉄マルーン」と呼ばれる赤と白とのツートンカラーの「3200系」、グレーと白色に黄色のラインを入れた通勤列車「シリーズ21」が主力。これらを連結すると見た目がちぐはぐでみっともない、というわけだ。

 和田林道宣社長は「保有車両を効率的に運用するため、利用状況に合わせて増結している。結果的に異なるカラーリングの車両を連結するのはやむを得ない」とした上で「リニューアルの機会に合わせて検討を進める」と述べた。

 沿線の高齢化、外国人観光客の増加に伴って車両の変更は今後も進み、カラーは移り変わる可能性がある。ただ、実用一辺倒では味気ない。