レクサスの頂点 新型LSの開発テーマは「初代の衝撃を超えろ」 トヨタ社長の評価は?
トヨタ自動車の高級車ブランド、レクサスが6月下旬、今秋発売予定の5代目フラッグシップセダン「LS」を日本で初披露した。1989年のデビューから日本の最高峰サルーンとして君臨し続けて28年。今回、11年ぶりに全面刷新するにあたり、豊田章男社長は開発陣に「初代の衝撃を超えるクルマを作ってくれ」と要求した。新型の詳細については一部情報しか公表しておらず、まだ多くの謎に包まれているが、発表会の様子から察するに相当の自信作に仕上がっているようだ。先進安全装備や走りのパフォーマンスはもちろん、内外装にも磨きをかけた究極のラグジュアリーカーを写真とともに紹介する。
この4月にレクサスのトップに就任した澤良宏プレジデントは、5代目LSの開発初期に豊田社長から「初代の衝撃を超えるクルマを作ってくれ」と担当エンジニアに思いのこもった言葉があったことを明かした。「社長だから、それはもう言葉というよりも指示だった」。
初代LSは「日本メーカーにラグジュアリーブランドは作れない」と言われる中、圧倒的な品質の高さで世界に衝撃を与えた。「走行性能」と「静粛性」という相反する要素を高い次元で両立させることで、それまでの高級車の概念を覆したのだ。まさにその直後から、ドイツの高級車ブランドも車内の静粛性に力を入れるようになった。以降、LSは4代にわたって「二律双生」のDNAを継承してきた。
LSの開発責任者を務めた旭利夫チーフエンジニアは、「初代LSへの強い憧れ」からトヨタに入社した。彼は「初代の衝撃」をどのように解釈したのだろうか。
「レクサスが短時間でドイツ勢と肩を並べるところまで来られたのは、初代LSの卓越した商品力、品質、性能、サービスがあったから。それら全てを超えるものを次のチャプターで展開して、他社としっかり差別化することで『初代の衝撃を超えることができる』という思いで開発してきた」
車両テストではレクサスの「マスタードライバー」を務める豊田社長もハンドルを握り、デザイン面も含めてエンジニアに何度もやり直しを命じたという。その後も試行錯誤は続き、ようやく「これならいいね」の言葉を引き出した。
ついに姿を現した5代目LSは、新開発のGA-Lプラットフォームを採用することで走行性能を向上させ、デザイン面も最近流行りのクーペスタイルに生まれ変わった。灯火類はシャープな印象で、外観は全体的に押し出しが強い。クラストップレベルのレッグスペースを誇る室内はとても開放的だ。
パワートレインは先代の4.6リッターV8エンジンからダウンサイジングした3.5リッターV6ツインターボを10速ATと組み合わせることで、V8エンジンをしのぐ気持ちのいい加速を実現したという。さらに、ハイブリッドシステムに有段ギアを取り込んだマルチステージハイブリッドシステムもラインアップ。先進安全装備も「レクサス・セーフティ・システム+A」という予防安全技術をパッケージ化した。目玉の一つの「アクティブ操舵回避支援」は、衝突の危険を察知したときのブレーキ制御に加え、クルマが自動で操舵して他車との接触を回避するシステムだ。
国産セダンの頂点に立つLSが、絶対に失敗が許されないクルマであることは言うまでもない。豊田社長は新型LSをどう評価しているのだろうか。澤プレジデントが明かす。
「豊田は『前に進んでいい』とは言うが、『完成した』とは一切言わない。我々にゴールはない。今後も常にレベルアップを意識するが、新型LSには今できるものを全てつぎ込んでいる」
LSが11年の歳月を経てどれだけの進化を遂げたのか。そのうち試す機会があれば、ぜひ【試乗インプレ】で取り上げたいと思う。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)
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