大丸心斎橋店本館1階の天井【拡大】
同社傘下の大丸松坂屋百貨店の好本達也社長は10月上旬、大阪で開いた決算会見でそう述べ、苦渋の決断だったことを明かした。
南海トラフ巨大地震など大地震の発生が想定される中、老朽化した本館は抜本的な耐震化が急務だ。「売り場に多くの補強壁を設置する必要があり、その場合は百貨店の機能を損なうことが分かった」という。
J・フロントは今年1~4月、専門家3人による保存検討委員会(委員長=加藤晃規関西学院大名誉教授)を設置し、意見を聴取した。同社は御堂筋側の外壁を現在の位置で保存し、新築する高層部分は道路から後方に下げる「セットバック」方式を採用。ピーコック装飾も再利用する方針を説明した。
内装は「1階の内部空間の継承が最も重要」としつつ「店舗閉鎖後に部材を取り外すなどの調査を行い、扱いを検討する。再活用できる部材は、(大丸の)店づくりの考え方をベースに店舗内で活用する」と説明する。できるだけ保存する意向は示されたが、どこまで残せるかは不透明だ。