今年1月のオートメッセでも2000GTの展示を見たが、久しぶりに実車を前にすると改めて感動する。
3ナンバー(横幅170センチ超え)の高性能車が当たり前となった現代の感覚で見ると、全幅はたったの160センチ、全高も120センチ弱と小さく引き締まったボディ。そして、どの角度から見ても伸びやかなボディーラインがほれぼれするほど美しく、思わず目尻が下がって言葉を失う。
2週間で改造したと思えぬ完成度
4タイプあるなかで、一番面白かったのはやはりボンドカー。
案内してくださった博物館の広報の方によると、撮影用車両の制作にはたった2週間の猶予しかなかったのだという。なんでも、プロデューサーは当初別のクルマを候補にしていたのだが、トヨタからの強いアプローチもあり2000GTが採用されることになったのだそうだ。
ご存じの通りベースとなる市販車の2000GTはハードトップのクーペ1タイプしかない。これをたった2週間でオープン(コンバーチブル)ボディーに作り変えてしまったわけだが、市販モデルとはまったく形状が異なるサイドウインドーから後ろのボディーを、上から下から横から斜めからじっくり眺めてみても、とても2週間で仕上げたとは信じられない。オープン仕様の市販車も予め用意されていたとしか思えないほど完成度が高い。ここまででも十分一見の価値ありなのだが、面白いのはここから先である。