異界に舞い下りた奇跡の饗宴 「和魂漢才」に身震える 国東で深化したダイニングアウト  (2/5ページ)

  • 至福の時間にゲストの顔にも笑みがこぼれる
  • レクサスに乗り込む筆者。期待が高まる
  • 国東の街道をひた走るレクサス
  • 石段を登るゲスト
  • 護摩焚き供養。一切の煩悩を焼き付くすとされる炎が燃え上がる
  • ホストを務めた中村氏(左)と川田氏
  • 説明する中村氏とゲストら。ディナー会場とはにわかに信じられない光景
  • 至高の一皿をゆっくりと味わう
  • 調理する川田氏。気合が充実
  • テーブルでパフォーマンスを見せるスタッフ。川田シェフを支える裏方も大活躍
  • 一皿ごとに語りたいストーリーがある
  • 自然と一体になった饗宴
  • 「国東開胃菜」。味わい深いオイスターに、日本と中国の古酒の香りをプラス
  • 「爆米炸泥鰌」。紹興酒の香りをまとった泥鰌のおこげ揚げ
  • 地元の野菜や牡蠣を中国茶で蒸した「岩香蒸山海」
  • 「峨眉山排骨」。唐辛子が目を引くが、口にすると桜王豚の脂の旨みが広がる
  • 鬼の形相の三島フグを使った「国東的良鬼」。地元で採れたこだわりの白米と
  • シェフが修行時代から毎年作っているデザート「爽口凍青梅」


◆数々の趣向で幻想的なムードに

 レクサスは海岸線と別れ、うっそうとした山道へ。180度のコントラストがまた楽しい。30分ほど走っただろうか、着いた先はとある寺院の前だった。しかし本殿らしき姿は見当たらない。

 ゲストら一行は、延々と続く300段の石段を黙々と登り始めた。額にうっすらと汗が浮かび始める。

 「えっ」。驚くゲストの目の先に、ほら貝を片手の白装束の修験者がたたずんでいた。いたずらっぽい笑みを浮かべ、「ようこそ。さあ、あともう少しです」と先を促す。

 どこかで見たような…。「あっ、中村さんでしょ」と笑い声がこだまする。実は今回のイベントのホストで美食評論家、中村孝則さんの粋な演出の一つだったのだ。

 中村さんに迎えられてたどり着いたのは、六郷満山随一の歴史を誇る古刹、「峨眉山 文殊仙寺」。

 国東半島は両子山という岩山を中心に6つの山稜に分かれ、その寺院群の総称が六郷満山だ。大陸から伝わった仏教と日本古来の神道が融合し、山岳信仰とも混淆して独自の文化が花開いた。そして今年が開山1300年という節目にあたる。

 ディナー会場に案内されるとばかり思っていた一行に、また一つ趣向が用意されていた。特別に導かれた奥の院で、副住職による護摩焚き供養が始まった。あたりはもうほの暗く、一切の煩悩を焼き尽くす火柱が天井まで届かんと燃え上がり、幻想的な雰囲気を醸し出す。読経に耳を傾け、静かに手を合わせるゲストもどこか神妙な面持ちだ。

◆「ここでディナー?」 目を丸くするゲスト

 厳かな雰囲気で送り出された一行は今少し石段を登った。そしてまたも驚き、わが目を疑うことに。

「和魂漢才」を追い求めるシェフ