【木下隆之の試乗スケッチ】アメ車の魅力を再発見 IT&軍事技術を注入した絶品SUV キャデラックXT5 (3/3ページ)

  • キャデラックXT5
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 実は乗り味も絶品である。今回試乗したキャデラックXT5クロスオーバーは、全長4825mm×全幅1915mm×全高1700mmである。ディメンションはレクサスRXに近似している。それでいて、搭載するエンジンはピュアなフィーリングを信条とするV型6気筒3.6リッター自然吸気エンジンである。8速ATとの組み合わせもあり、314psも発揮するから、低回転はハイレスポンスでいながら高回転域までシュンと吹け上がる。ダウンサイジングターボという美名にすがった小排気量ターボでは得られないレスポンスとトルクが気持ちいい。左脳が世間への体裁や流行を追い求めようとするあざとさを気にするからダウンサイジングターボこそ善となるのだろうが、欲求に素直な右脳は「やっぱり大排気量NAがいいよね」と叫ぶ。

 そもそもボディは、ライバルよりも100kg単位で軽いのである。「アメ車=重い」なんて思っていると笑われるのである。

 スイッチ操作一つで、FFも全輪駆動も選択可能。どちらも公道をクルージングしているかぎり違和感はまったくない。V型6気筒は気筒休止をするのに、その気配は世界のどの車よりも少ない。ともすればドタバタしがちな大径20インチタイヤも履きこなしている。リアルタイムダンピングシステムが無骨な印象を消し去っている。

 やはり最後まで興奮を抑えられなかった。キャデラックでもっとも販売上で成功したXT5クロスオーバーに乗って、キャデラックの魅力を再認識した次第である。

 「木下隆之の試乗スケッチ」は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちらから。

 木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム「木下隆之のクルマ三昧」はこちらから。

【プロフィール】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。