ともあれ、雨後の筍のごとくクロスオーバーが誕生すると、個性を主張しなければ淘汰が進むのは道理だ。クロスオーバーだというだけで個性だった時代はすぐに過ぎ去っていく。ゆえに各メーカーは21世紀に訪れたドル箱市場を握って離すまいと、個性のドーピングに躍起なのである。
まさかのパワーオリエンテッドで乱入
春にドライブしたアルファロメオ・ステルヴィオは、いかにもアルファらしくキレッキレのハンドリングで個性を主張した。実はステルヴィオをドライブしながら想いをはせたのがコレ、駆け抜ける歓びを主張するBMWが沈黙を貫くはずもない。走りの性能で個性を求めてくることは想像に難くなかった。だが、こんなハイパワーエンジンを搭載し狼煙をあげるとは夢にも思わなかった。
そう、新型BMWX4は、2種類のエンジンで誕生。直列4気筒2リッターツインターボ仕様の「xDrive30i」と直列6気筒3リッターツインターボ仕様の「M40i」をラインナップさせたのだ。
僕が驚いたのはもちん後者、直列6気筒ツインターボは、最高出力360ps最大トルク100Nmという激辛なパワーを炸裂させる。ランボルギーニやポルシェがハイパワー路線で勝負するのは容易に想像できるのだが、X4がまさかここまでパワーオリエンテッドで乱入してくるとは驚きである。
重量級哺乳類がサバンナを突進
実際に走りはダイナミックである。基本的には上質な味わいなのだが、ひとたびアクセルを床踏みすれば、怒涛のトルクが襲ってくる。ウエイトは2.2トンに達しようというから、象の突進とは言わないまでも、重量級哺乳類がサバンナを突進する感覚に似ている。