黒田日銀総裁、追加緩和期待打ち消し 新興国減速にも強気の姿勢
中国など新興国経済の減速懸念が、日銀が思い描く日本経済再生に向けた青写真に影を落としている。日銀は15日の金融政策決定会合で、新興国経済の回復の遅れを踏まえ、海外経済の景気判断を引き下げた。ただ、黒田東彦総裁は会合後の記者会見で強気の発言を繰り返し、市場に渦巻く追加緩和期待を打ち消すことに終始した。
「財政・金融政策によって安定的な成長を続けていくだろう」。人民元切り下げや上海株式市場のバブル崩壊で世界同時株安を引き起こした中国について、黒田総裁はこう述べ、当局による構造改革と政策対応に期待感を示した。
ただ、中国当局が13日に発表した8月の主要経済統計は、中国経済の減速を改めて印象づける内容だった。設備・建設投資の傾向を示す固定資産投資の伸びが15年ぶりの低水準に陥ったのだ。
16、17日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げに踏み切るかにも注意を払う必要がある。米国が利上げした場合、新興国経済を支えてきた資金が米国に逆流する可能性があるためだ。
これに対し、黒田総裁は「米利上げの可能性に懸念を示す新興国は少なくなっている」などと繰り返した。世界銀行や国際通貨基金(IMF)が米国に対し、慎重な判断を求めているのとは対照的な発言だ。
日銀はこの日、新興国経済の減速を理由に輸出と生産の景気判断を下方修正した。これについても黒田総裁は「企業収益は過去最高水準」とし、企業が設備投資や賃上げに資金を回す動きは弱まっていないとの見方を強調した。
こうした黒田総裁の発言に、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「中国・新興国経済の鈍化に円高、原油安と外部環境は悪くなっている。今の市場の感覚からすると楽観的だ」と指摘した。
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