訪日客2000万人時代目前 「民泊」拡大、防犯、タトゥーなど課題山積
中国経済は息切れが目立ってきたが、日本を旅行中の中国人観光客による「爆買い」の勢いに衰えは見えない。恩恵が大きい小売り各社は買い物需要をさらに取り込もうと、中国語など外国語対応が可能な販売員の採用などを急ぐ。一方で訪日客数の増加で東京を中心にホテルが不足し、国内のビジネス客などが部屋を取りにくい事態も起きている。政府は一般住宅に観光客を泊める「民泊」の拡大方針を打ち出したが、訪日客2000万人時代を目前に、官民挙げて解決すべき課題は少なくない。
「半年で昨年一年分を上回る稼ぎだ」
高島屋の3~8月の免税売上高は144億円に達し、木本茂社長は笑いが止まらない。ビックカメラの宮嶋宏幸社長も「訪日客の消費意欲は旺盛で、中国経済の減速に不安は感じない。接客に当たる留学生などの積極採用を続ける」と強気だ。
ホテル業界も活況に沸く。西武グループのプリンスホテルは1~8月の外国人宿泊客数が前年同期比40%増え、過去最多の74万7000人に上った。とりわけ東京都内での客室稼働率は90%前後が常態化し、空室不足で8月の客室平均単価は前年同月比2000円近く上昇した。
深刻なホテル不足の解決策として、政府は民泊の拡大を打ち出す。今月20日に開いた国家戦略特区諮問会議で、特区の東京都大田区でマンションなどの空き部屋を活用し来年1月から実施することが認められた。現在は同じ住宅に最低7~10日滞在する客に限っているが、実施地域の拡大に向け要件緩和を検討する。
ただ全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の清沢正人専務理事は「安全面や防犯・テロ対策の観点からも安易な拡大は望ましくない」と苦言を呈する。石井啓一国土交通相も「訪日客への情報提供に取り組み、旅館や大都市近県の宿泊施設の活用を促したい」と配慮をにじませる。ホテルと比べ稼働率が低い旅館業界との調整は不可欠だ。
一方、観光庁は21日、温泉や大浴場での入れ墨(タトゥー)客への対応について、警察庁や厚生労働省などと協議していく方針を示した。ファッション感覚や民族の慣習で入れ墨をする外国人も多いが、対応は施設によりまちまちで、他の利用客からの苦情などトラブルにつながるケースも多いためだ。訪日客の急増に伴い、文化的な摩擦をどう解消するかも課題となっている。
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