世界の国防費、アジアの4割強は中国 日本は7位から8位に後退

 

 【ロンドン=岡部伸】英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)は9日、世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2016」を発表した。中国はアジア(オセアニアを含む)の国防支出に占める割合が15年に41%を占めた。日本はアジアの11・5%に低下、南シナ海などで覇権強化が進む中国との差が一層広まった。

 またシリアのアサド政権を支持して軍事進行したロシアも軍の近代化を進めており、報告書は「今後10年で中露のハイテク化が進み、西側の優位性が減退する恐れもある」と中露の軍備増強に警戒感を強めている。

 報告書によると、最も多かった国防支出は米国で2010年に世界全体の47%を占めたが、15年は38・3%まで下がった。しかし5975億ドル(約68兆8300億円)に達しており、2位の中国の1458億ドルを大きく引き離している。

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)対策などからサウジアラビアが前年に続いて819億ドルで3位。次いでロシアが656億ドル。ルーブル安で4位だが、15年までの1年間で実質的に増えた額(425億ドル)では、中国(19・8%)よりも多い21・7%を占め、国内総生産(GDP)に占める割合で5・4%に拡大。サウジアラビアの12・9%に次いで軍事大国ぶりが目立った。

 日本は円安もあって14年の477億ドルから410億ドルとなり、7位から8位に後退。一方、中国は01年以来、ほぼ毎年2桁、国防費を増加させ、報告書は「昨年9月の(抗日戦勝70周年)軍事パレードで長距離巡航ミサイルや『A2/AD』(接近阻止/領域拒否)能力などの技術革新を急速かつ広範に進めていることが判明した」とした。

 アジアの国防予算は10年以降、名目で4分の1以上増え、14年の総額3220億ドルから15年は3400億ドル以上になった。

 報告書は、中国の海洋への膨張で対応を迫られるアジア太平洋地域で海軍力の増強が進められ、ほとんどの国が過去5年間に海上兵器購入などで支出が拡大していると指摘している。