“悪意の商標”撲滅へ訴訟費補助 中国企業などに対抗、国内ブランド価値守る

 

 特許庁は2016年度から、中国企業などが海外の地名や製品名の商標権を勝手に主張する「悪意の商標出願」に対し、取り消し訴訟を起こす中小企業に資金補助を始める。知的財産に関する海外での裁判は費用がかさみ、泣き寝入りになるケースもある。商標の“不法占拠”に政府支援で対抗し、国内のブランド価値を守る。

 14~18年度に実施する海外での知財侵害対策事業の一環として、訴訟補助の対象を悪意の商標出願にも広げる。弁護士への相談や訴訟準備など関連費用の3分の2について、500万円を上限に支援する方針。支援した案件の半分以上で最終的に日本側の主張が認められることを目標とする。

 インターネットの普及で外国製品の情報が入手しやすくなり、悪意の商標出願は増加している。将来進出しそうなブランドを片っ端から出願し、本来の権利者に高値で買い取らせようと狙うのが主な手口だ。ジェトロが昨年実施した調査などでは「備前焼」や「輪島塗」といった伝統工芸品に加え、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」のキャラクターも標的にされた。

 登録が認められれば、企業は海外で自社ブランドの商標を使用できない上、粗悪な模倣品が出回ることで企業イメージを損なうなど大きな影響がある。ただ、中国で訴訟を起こすには500万円以上の費用がかかり、資金不足の中小企業には重荷。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効でアジアの新興国に進出する中小企業が増えれば、知財関連のトラブルが増える恐れもある。特許庁幹部は「しっかり戦える費用を支援して、企業の海外展開を後押ししたい」と話している。