超高層ビル建設ラッシュ 棟数8年連続世界一

提供:中国新聞
天津市浜海新区に建設中の「天津117ビル」。構造上の高さは596.5メートルという超高層ビルで、大量のセメントや鋼材などが使われている=2015年9月(中国新聞社)

外資誘致や地域経済発展の“名刺”

 2015年に全世界で建設された高さ200メートル以上の超高層ビルは過去最多の106棟だった。このうち中国では62棟が建設され、8年連続で1位だった。米国に本部を置く国際NPO(民間非営利団体)、高層ビル・都市居住協議会(CTBUH)はこのほど、年次報告書を公表。そのなかで今年、世界で建設される超高層ビルで、高さトップレベル10棟のうち6棟は中国で建設されると予測している。

現在も300棟予定

 年次報告書によると、15年に完成した超高層ビルで最も高いのは上海中心大厦(英文名は上海タワー)で632メートル。現在、ビルとしてはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるブルジュ・ハリファ(828メートル)に次ぐ高さとなっている。昨年完成した中で2番目に高いのは米ニューヨークの432パーク・アベニューだった。

 15年、世界で最も多く超高層ビルが完成した都市はインドネシアのジャカルタが7棟で1位。広東省深セン市、江蘇省南京市、広西チワン族自治区南寧市がいずれも5棟で続いた。

 中国では現在、超高層ビル300棟が建設中。年次報告書は「中国不動産市場は13年以降成長が減速しているが、ビル建設は速いペースで続いている」と指摘している。今年は660メートルの深セン平安金融センターが完成する予定だ。

 これまで中国の超高層ビルは主に1線都市(北京、上海、深セン、広州)に建設されていたが、現在では(規模の面でそれに続く)2線都市や3線都市でも増えている。超高層ビルは都市の“名刺”として、外資誘致や地域経済の発展をもたらす役割を期待されている。

 だが一部では超高層ビルの乱立に批判も出ている。北京工商大学産業経済研究所の陳及所長は「現在の超高層ビル熱は、地方政府が業績を追求し、競い合った結果だ。不動産開発業者の名義で行われている多くの事業は、地方政府が土地政策や税制を通して水面下で指導している」と指摘。

 北京理工大学管理経済学院の周畢文教授は「超高層ビル熱はバブルの産物」として、「人々が理性を取り戻せばこれほど高いビルを建てることはなくなるだろう」と語っている。

バブルのリスク懸念

 国内世論の中には、各地の超高層ビル建設を「成金のひけらかし」と批判する声もある。

 「人民日報海外版」は、「中国不動産市場の過熱の表れであり、地方政府がランドマーク的なビルを建設して業績をアピールする手段でもある」と指摘した上で、エコノミストの宋清輝氏の分析を引用。「経済成長が鈍化する中で、不動産市場政策の基調からみれば、不動産業はなお経済の柱。とりわけ地方債務の圧力緩和は多くの面で不動産業にかかっている。

 超高層ビルのテナント料が高いとはかぎらないが、政府が後押しをしているため、開発業者はリベートの問題をまったく懸念する必要がない。業者は不足しがちな土地資源を非常に安い値段で取得でき、高額融資を迅速に受けられる」という。

 このため、現在のペースで超高層ビルを建設することについて、信用貸しバブルのリスクが存在すると指摘する人もいる。

 宋清輝氏によると、中国経済の成長速度は全世界で突出している。今年の国内総生産(GDP)成長率は6.5~7%に減速すると予測されてはいるが、それでもこの数字は世界最高レベルで、世界経済への貢献度は最大だ。

 超高層ビルの乱立は中国経済を崩壊に押しやる恐れが確かにあるが、建設前の準備作業を十分に行い、市場調査と事業全体計画をしっかりと行えば、超高層ビルの建設そのものはメリットが上回る。

 中央業務地区(CBD)の移転は多くが超高層ビルの建設によるもので、一部の国内都市は建設に必要な実力と能力を完全に備えているという。(羊城晩報=中国新聞社)