ついに動き出すか「東九州新幹線」構想 新たな交通インフラを地域の活力に

ビジネスアイコラム
全線開業から5年が経過した九州新幹線。今日も大勢の客を乗せて走る=福岡市博多区のJR博多駅

 いよいよプロ野球のペナントレース開幕が迫ってきた。選手が野球賭博にかかわっていた問題が新たな広がりをみせ、水を差された感は否めないが、キャンプ、オープン戦、そしてペナントレース開幕と続くこの時期はワクワクする。

 福岡にはソフトバンクホークスが本拠地を置く。昨年のペナントレースをぶっちぎりで制し、ヤクルトスワローズとの日本シリーズも圧勝したその強さもあって、地元ファンは熱い。今年も福岡の街はホークスの話題で盛り上がることだろう。

 せっかく九州にいるのだから、ホークスのキャンプでものぞいてみるか-。2月のキャンプイン直後、休日にふと思い立った。ただ、ホークスがキャンプを張る宮崎まで、福岡からは300キロ超、車で行くと3時間半はかかる。熱狂的なファンなら苦にならないだろうが、ちょっとのぞいてみるか程度の気持ちで行くにはハードルが高い。

 ならば電車かといえば、こちらも遠い。調べてみると、九州新幹線で博多(福岡県)から新八代(熊本県)まで50分かけて行き、そこから高速バスが早いらしい。だが、高速バスの乗車時間が2時間20分と聞き、断念。残された選択肢は飛行機だが、にわかファンの悲しさでそこまでのエネルギーがなく、結局やめてしまった。

 同じ九州でも、九州新幹線で結ばれる熊本までは博多から最速で33分、鹿児島中央でも1時間17分で着く。半面、新幹線のルートにない大分、宮崎へはなかなか行きづらい。

 こうした中で、にわかに浮上しているのが、福岡から大分、宮崎を経て鹿児島に至る「東九州新幹線」構想だ。大分、宮崎両県は今年度、それぞれ調査費500万円を計上した。大分県が1月に公表した試算によると、東九州新幹線が建設された場合、博多-宮崎は2時間9分で結ばれ、特急に比べ約3時間短縮されるという。大分県は来年度当初予算案にも189万円の推進事業費を盛り込んだ。宮崎県と連携して国への要望活動を行うほか、地元住民や企業などに経済効果に関する説明会を開く考えだ。

 耳慣れない東九州新幹線構想だが、実は降ってわいた話ではない。今から40年以上前、1973年に国の基本計画に盛り込まれている。実現には国が整備計画に格上げする必要があるが、地元自治体が動き出したことは一歩前進といえる。

 全線開業から5年が経過した九州新幹線の利用者は年間1300万人に達し、ビジネス、観光、さらに日常の“足”としても、人の流れを大きく変えた。だが、九州7県のうち、2015年国勢調査(速報値)で人口が増えたのは福岡県のみ。九州新幹線が通っているかどうかで人口減少率に大差はなく、福岡市を中心とした福岡都市圏への一極集中が進んでいる。

 もちろん、人口だけで地域の活力を計ることはできないが、新幹線だけで活性化できるわけでもない。新たな交通インフラを地域の活力にどうつなげていくのか。東九州新幹線構想は、改めてそのことを問いかけてもいる。(産経新聞社西部本部副代表 高橋俊一)