日銀決定会合 マイナス金利で手詰まり感 「実体経済への波及に時間必要」
日銀が景気判断を下方修正したにもかかわらず、追加の金融緩和を見送ったことは、金融政策に手詰まり感があることを浮き彫りにした。景気・物価が低迷する中、市場では追加の金融緩和への期待が盛り上がるが、「銀行の収益を圧迫する『マイナス金利政策』は当面強化できない」との見方も広がる。
「貸出金利、住宅ローン金利ははっきり低下しているが、実体経済への波及にはある程度の時間が必要」
会合では2月16日に導入した同政策の効果を検証したが、黒田東彦総裁はこの日の記者会見で、マイナス金利の成否を判断するのは時期尚早と強調した。
三菱東京UFJ銀行など3メガ銀行の10年固定型の住宅ローン(最優遇金利)は年1%を割る水準に低下し、各行への借り換えの申し込みは急増している。
しかし、会合の声明文では、「住宅投資はこのところ持ち直しが一服している」と、前回1月会合の「持ち直している」から下方修正した。
幹部は「マンション価格の高騰が実需を冷やしている。住宅ローン金利の低下で今後はポジティブな効果が期待できる」と説明するが、普通預金の金利も大幅に低下する中、預金者が将来の家計のやりくりを心配しているとの声も出ている。
マイナス金利の導入を決めたのは、年明けからの円高・株安で企業マインドが悪化するのを防ぐ狙いもあった。しかし、2016年春闘では大手各社とも賃上げに慎重姿勢で不安は解消されておらず、市場金利の低下で企業が借り入れを増やすという効果もまだみられない。
このため、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「4月の会合で成長率と物価の見通しを下方修正し、追加緩和に踏み切る」と予想する。
黒田総裁は1月の会合直後の講演などで「必要な場合、さらに金利の引き下げを行う」とマイナス幅の拡大も辞さない考えを示していたが、この日の会見では「何か特定のものを事前に考えて決め打ちすることはない」と、ややトーンダウンした。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は10日の記者会見で「銀行システムに悪影響を及ぼすことなく、望むだけマイナス幅を拡大することはできない」と発言し、マイナス金利の限界を示唆した。
これに対し、黒田総裁は「(日銀の)マイナス金利の金融機関への直接的な影響は最小限にしている」と強調したが、証券会社や信託銀行の要請を受けてMRFを適用除外とするなど“迷走”が続く。
市場では、日銀はマイナス金利の拡大にはやや慎重になっていると受け止められた。国債の買い増しも市場規模の制約で難しくなる中、日銀の「選択肢」は狭まっている。(飯田耕司)
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