「民泊」旅行業登録義務付け 仲介事業者対象に法整備検討

 

 一般住宅に有料で観光客などを泊める「民泊」について、政府がインターネットなどを利用した仲介事業者に旅行業の登録を義務付ける方向で検討に入ったことが24日、分かった。厚生労働省と観光庁の有識者会議が15日まとめた中間報告には仲介業者の規制の必要性が明記されており、必要に応じて法整備を進める。

 旅行業法では、旅行者向けの「運送または宿泊サービス」を取り次ぐ行為を旅行業にあたると定義している。政府は当面、民泊を旅館業法上の「簡易宿所」と位置付けて営業許可の取得を促進する方針のため、民泊は「宿泊サービス」となり、旅行者向けの仲介事業も旅行業にあたると判断した。

 ただ、旅行業者は宿泊サービスが適切に提供されているかを管理・監督する義務を課せられないため、政府は管理サービスやトラブル対応などの環境整備についても検討を進める。

 また有識者会議の中間報告は、中長期的には民泊に対して「現行制度の枠組みにとらわれない検討が必要」と明記。「ホームステイ型」など一定の要件を満たす民泊については、届け出のみで営業できるよう整理されるべきだとしており、その場合は位置付けが変わる可能性がある。有識者会議は最終報告を6月にまとめるとしている。

 民泊の仲介事業をめぐっては、無許可で宿泊事業を行う違法な“ヤミ民泊”の温床になるとの指摘がある一方、米仲介サイトのエアービーアンドビーの国内登録件数は急増しており、ヤミ民泊が事実上の野放し状態にある。管理が行き届かず、旅行者と近隣住民の間で、トラブルになるケースも目立っている。

 政府は年間訪日外国人旅行者数の目標の上積みを検討しており、都市部における宿泊施設不足の緩和は喫緊の課題となっている。