上値重い今後の東京株式市場 輸出主力の大型株より内需株狙いか
高論卓説先月末、中国・上海で行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、事前に噂されていた政策協調による人民元切り下げは行われず、当たり障りのない声明が発表されて終了した。その中で「金融政策だけではバランスの取れた成長をもたらすことはできない」として、今後は各国の財政出動が期待されるとともに、「通貨の競争的切り下げ回避」が確認された。これはサプライズを持って導入された日本銀行によるマイナス金利導入を意識してのコメントであったろう。
今後の円安が想定しにくい中で、東京市場はどのような展開になるのだろうか、米国株式市場(S&P500)とドル円相場の2つの説明変数を使って、日経平均株価の水準を重回帰分析してみた。分かりやすく書くと、S&P500指数とドル円を使って日経平均の水準を推定する計算式を作ってみた。株式市場関係者は、朝起きると、主にニューヨーク株式市場の結果とドル円をチェックして、その日の東京市場の動きを占う。もちろん原油価格や金価格、また上海市場の動向なども重要だが、こうした式は予想する項目が少ないほど使いやすい。
2014年9月から本年3月25日の相場までの382日間のデータでは、S&P500とドル円の水準の2つだけで、日経平均の水準の85%までが説明がつく。
この分析から得られた計算式は、日経平均=S&P500×7.39+ドル円×235.4-24619である。
これはS&P500が1ポイント上昇すれば日経平均は7.39ポイント上昇し、ドル円が1円円安になれば235.4円上昇することを示している。
この式から導かれる日経平均推定値と現実の日経平均をプロットしたのがグラフである。全体の約7割の日がプラスマイナス600円以内の誤差に収まっている。残念ながらこうした式は、あくまで過去の動きを説明するだけで、式の係数は変化するし、実際のトレードに応用できるほど精度は高くない。またそもそもS&P500やドル円の予想自体が日経平均を予想するのと同じくらい困難なのでグラフのみかけほど将来に対して役に立つものでもない。
しかし例えば現在の状況でいうならば、(1)米連邦準備制度理事会(FRB)は、少しでも景気の良い兆候があるならば利上げしたいと考えている。つまり好調な経済指標が出ても利上げによって株式市場の頭は抑えられて上がりにくい(2)G20で表明されたように通貨の競争的切り下げは認められそうもないので、円安は期待できない。つまり米国株式市場とドル円という日経平均の水準を決定してきた重要な2つの要素からいえることは、日経平均は上昇しにくいということである。であるならば、ここからの投資スタンスはインデックス・ファンドや輸出主力の大型株ではなく、内需に力点を置いた小型株の中から銘柄を選別していく方がよいということになるだろう。
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【プロフィル】板谷敏彦
いたや・としひこ 作家 関西学院大経卒。内外大手証券会社を経て日本版ヘッジファンドを創設。兵庫県出身。著書は『日露戦争、資金調達の戦い』『金融の世界史』(新潮社)など。59歳。
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