黒田総裁“公約”果たされぬまま3年 息切れ「2%上昇」程遠く

 
参院予算委員会で委員からの質問に答える日銀の黒田東彦総裁=3月3日

 日銀の黒田東彦総裁が「異次元の金融緩和」と呼ばれる大規模な金融緩和策を実施して4日で、3年が経過した。2%の物価上昇率目標を掲げ、「2年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に実現する」とした黒田総裁の“公約”は、果たされぬままだ。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の先陣を切った“黒田バズーカ”だが、日本経済が一進一退となる中、次の一手を見いだせないでいる。

 異次元緩和が始まったのは2013年4月4日。世の中に流れるお金の量を倍増させる大胆な緩和手法に、過度な円高は急速に是正された。その後も黒田日銀は約1年半おきに追加緩和を行い、デフレ脱却に腐心。黒田バズーカの効果は、失業率の低下や3年連続でのベースアップ実現にも一定の役割を果たした。

 「日銀は常に経済・金融を取り巻く環境変化を捉え、新しい手段を執りながら、中央銀行の基本的役割を果たしてきている」

 1日の日銀入行式で、黒田総裁は前例のない政策を続ける意義を説いた。

 ただ、2%の物価上昇率目標は達成が程遠く、肝心のデフレ脱却はまだ道半ばだ。2月の全国消費者物価指数は前年同月比0.0%。足を引っ張るのは消費税率8%への引き上げ後の消費の落ち込みや原油安、新興国経済の失速だ。

 デフレ経済への逆戻りを防ごうと日銀は2月、マイナス金利の導入に踏み切った。企業向けの貸し出しや住宅ローンの金利は大幅に低下したが、「地銀は預貸金収益の比率が大きく、利ざやの低下の影響は大きい」(全国地方銀行協会の寺沢辰麿会長)など、金融機関からは反発も出ている。

 それでも黒田総裁は「必要に応じて躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を行う」と強気だ。だが国際的には、金融政策頼みの景気回復の限界論が共通認識になりつつある。

 マイナス金利導入後、国債利回りがマイナス圏に入り、政府が財政出動しやすくなっているという面もある。消費税再増税の延期論も出る中、財政規律が緩めば、金融政策の「出口」はさらに遠のきかねない。

 東短リサーチの加藤出(いずる)チーフエコノミストは「いくらでも国債を発行できるという妙な安心感が政府サイドに生まれ、日銀に対する追加緩和圧力は減っている」と指摘する。黒田総裁にとっては「黒田バズーカ4」への手探りと政府からの圧力低下の狭間で、悩ましい日が続きそうだ。

 ■大規模緩和策導入前との主な指標の比較

         2013年4月3日     4月4日

         (大規模緩和の前日)

 長期金利(終値)年0.550%       マイナス0.085%

 日経平均株価  1万2362円20銭    1万6123円27銭

 円相場     1ドル=93円42~44銭 111円58~60銭

         (東京市場、午後5時)

 消費者物価指数 マイナス0.5%(3月)  0.0%(2月)

 (前年同月比)

 完全失業率   4.1%(3月)      3.3%(2月)