「アベノミクス相場」変調 東京株、7営業日続落

 
東京市場は株安円高基調が続いている=6日午前、東京都港区の外為どっとコム

 6日の東京株式市場の日経平均株価は、第2次安倍政権発足後で初めて7営業日連続して下落した。終値は前日比17円46銭安の1万5715円36銭で、約2カ月ぶりの安値水準。5日のニューヨーク市場で円相場が一時、約1年5カ月ぶりの円高水準となる1ドル=109円台に上昇し、企業業績を悪化させるとの懸念から売り注文が優勢となった。

 7営業日続落は12年11月5~13日以来、約3年5カ月ぶり。6日までの7営業日で平均株価は1400円余り下がった。

 大手証券の担当者は「政府の財政出動への期待はある一方、日銀の金融緩和策の限界や副作用が意識され、外国人を中心に日本株を手放す動きが続いているとみられる」と指摘している。

 ただ連日の下落で、割安感がある銘柄を買う動きが強まる場面もあり、前日終値を挟んでもみ合う展開が目立った。

 ◆外国人も売り越し

 日経平均株価は6日、第2次安倍晋三政権の発足後では初めてとなる7営業日続落を喫した。一時1ドル=109円台まで進んだ急激な円高ドル安で企業業績の先行き不透明感が強まったためで、日本株売買で6~7割のシェアを握る外国人投資家は足元で売りに転じている。円安が株高を誘発する「アベノミクス相場」は正念場を迎えている。

 株安を招いた最大の要因は円高だ。米国が追加利上げを急がないとの観測や原油先物相場が再び軟調になったことで、円買いドル売りが加速。円高を受け、自動車など輸出関連を中心に企業業績の悪化懸念が強まり、株売りにつながった。

 日本株相場を左右する外国人投資家の日本株離れも進む。2015年度の外国人投資家の売越額は3月25日までで約5兆円に達し、年度としてはリーマン・ショックがあった08年度以来の売り越しに転じるのが確実だ。世界最大の資産運用会社の米ブラックロックは3月、日銀のマイナス金利政策による市場や金融機関への影響や円高が日本の輸出産業に与える影響などを指摘、日本株の見通しを「強気」から「中立」に引き下げた。

 ◆重大事態当たらず

 平均株価は、15年度末にあたる3月31日の終値が14年度末の終値を2448円32銭(約13%)下回り、年度末としては5年ぶりに下落した。今回の7営業日続落で、新年度の日本株相場は早くも壁にぶつかった。

 消費税増税をめぐる安倍首相の判断にも影響する可能性がある。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「(最近の株価下落が)増税再延期の一つの材料になりうる」と指摘。ただ、「(安倍首相が再延期の条件としてこれまで示していた)『リーマン・ショックや大震災のような重大な事態』という規模ではない」とも付け加えた。

 当面の日本株相場の見通しについて、岡三証券の大場敬史シニアストラテジストは「外国人投資家の売りと、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や夏の参院選を見据えた政策期待の下支えで、綱引きになるだろう」と指摘した。

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 ■市場関係者の今後3カ月の相場見通し

 ≪日経平均株価≫

 ◆岡三証券の大場敬史シニアストラテジスト

 ・想定レンジ

  1万4500~1万7000円

 ・コメント

  外国人の売り基調と、5月の伊勢志摩サミットや夏の参院選を見据えた政策期待の下支えで綱引きに

 ◆松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト

 ・想定レンジ

  1万4500~1万6800円

 ・コメント

  政策期待に加え、米国の景気回復で利上げ観測が再び高まれば、円安を通じて株高につながる

 ≪円ドル相場≫

 ◆ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミスト

 ・想定レンジ

  1ドル=108~115円

 ・コメント

  円安になるには米国の利上げ観測の再燃とともに、リスク要因への過度な警戒が広がらないことが重要

 ◆シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジスト

 ・想定レンジ

  1ドル=108~113円

 ・コメント

  円高阻止には日本が財政出動策を示すのが最低条件。伊勢志摩サミットがその転機になる