円高ドル安、ジレンマに陥る政府・日銀 サミット控え為替介入しづらく
7日の外国為替市場で1ドル=108円台まで円高ドル安が進んだが、政府・日銀内には口先介入や為替介入をためらう雰囲気が漂っている。来週に米国で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議、来月には日本が議長国を務める主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控え、為替介入に批判的な米国や欧州への配慮から動きが取りにくいためだ。市場がこうした事情を見透かしたように、円高ドル安の流れに歯止めがかかりにくい状況で、政府・日銀はジレンマに陥っている。
「為替市場における過度の変動や、無秩序な動きは悪影響を与える」。菅義偉官房長官は7日の記者会見でこう述べた。また、財務省幹部も7日午前「少し偏った動きになっている。場合によっては必要に応じた措置を取る」と急速に進んだ円高を牽制(けんせい)して見せた。しかし、円買いの流れを止める効果は限定的で、こうした発言後もじりじりと円高が進んだ。
急速な円高の背景にあるのは米国の早期利上げ観測の後退に加え、日本政府が当面は円売り介入に踏み切りづらいとの見方が市場に広がっていることだ。
円買いに拍車をかけたのが安倍晋三首相の発言。首相は米ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し「外為市場で恣意(しい)的な介入は控えるべきだ」と述べたうえで、輸出で有利になるよう自国通貨を切り下げる「通貨安競争」は「断じて避けなければいけない」とも語った。5日にこの発言が伝わると日本政府の為替介入で円安に押し戻されることへの警戒感が薄れ、円高が加速した。
首相の発言の真意について菅氏は7日の会見で「長期にわたり為替の操作を続けていくことは適当ではないと指摘した」と火消しに回ったが、市場の反応は薄かった。
政府が、介入に慎重なのにはわけがある。2月に中国上海で開かれたG20会合で通貨安定に向けた国際協調策が焦点に浮上。来月には、世界経済情勢が最大のテーマとなる伊勢志摩サミットを控えており、円売り介入に踏み切れば、各国からの批判を受けるリスクは高い。
円高ドル安は、輸出企業を中心に業績の下方修正に追い込む可能性は高く、景気を冷やしかねない。政府・日銀にも、相場の急激な動きに対しては為替介入や追加の金融緩和に踏み切る切り札はある。
ただ、自国の輸出に有利な円高是正を狙った政策対応の是非については、市場関係者から「国際的な理解が得られるほどの円高ではない」と慎重な見方も根強い。
政府・日銀は、サミットを前に難しいかじ取りを迫られている。
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