偽造カードの対策義務化へ 経産省、20年3月までにIC化完了

 

 経済産業省が、偽造カードを用いるなどしたクレジットカードの不正使用を防ぐ対策を事業者に義務付ける方向で検討していることが8日、分かった。2020年3月までに国内発行カードや決済端末を全てIC対応にする目標を掲げ、カード会社や小売店などの加盟店に導入を急がせる。

 クレジットカードの安全管理をめぐっては、カード会社などに対し適切な管理ルールを定めるといった情報漏洩対策が義務化されている。従わない場合は業務停止命令や事業者登録の取り消しなどの処分もある。

 ただ、不正使用の対策にはまだ法的な規定がない。このため最も有効な防止策とされるクレジット取引のIC化に加え、インターネット取引でパスワードを入力しないと買い物できない「3Dセキュア」の導入を含む対策の義務化を検討。有識者会議の意見を踏まえ初夏までに具体策を固め、割賦販売法の改正を図る。

 不正使用する偽造カードは主に磁気カードの情報を複製して作られるが、カードと決済端末をIC対応にすれば情報の処理が暗号化され、複製と不正使用の双方を防ぐことができる。

 ただ、日本は欧米や中国などの新興国と比べてもIC化が遅れている。国内市場の大部分を占めるPOSシステムではIC化されたカードは全体の7割、決済端末は17%に留まる。

 国内で発行されたカードの不正使用被害は15年に120億円まで達し、過去3年間で1.8倍に増加した。国際的な犯罪組織が偽造カードで換金性の高い商品を購入し、資金源にしているとの指摘もある。

 経産省は「対策が遅れた日本が標的になっている」(担当者)と危機感を強めており、カードを頻繁に使う訪日外国人客も安心して利用できるよう20年の東京五輪に向け取り組みを強化する。