ネパールに再生エネ機運 大地震で自足重要性を痛感

 
ネパールの首都カトマンズで家庭用の太陽光発電パネルを販売するウダヤ・シュレスタ氏(共同)

 ネパールで再生可能エネルギー活用の機運が高まっている。昨年4月の大地震とその後の燃料危機で、市民生活が大打撃を受けたことがきっかけだ。家庭用の太陽光発電パネルの需要が高まる一方、政府はヒマラヤ山脈の雪解け水を利用する水力発電開発を推進したい考え。しかし課題も多い。

 「大地震前に比べ、月の売上高が3倍になった」。首都カトマンズで一般向けに太陽光発電パネルを販売するウダヤ・シュレスタ氏が語った。3万5000ネパールルピー(約3万5400円)ほどの家庭用装置が売れ筋という。

 ネパールでは、昨年9月に公布された新憲法の連邦制の区割りに反発した南部のインド系住民が、隣国インドとの国境を封鎖。今年2月の解除までガソリンなどの輸入が止まって燃料危機に陥り、約9000人が死亡した大地震の復興も遅れた。内陸国のネパールは、燃料を含む物流をインドに依存する。元水資源相のディパック・ギャワリ氏は、大地震や燃料危機で「国民全体がエネルギー安全保障の重要性を痛感した」と指摘する。

 エネルギー面の自立を探るネパール政府は、総合的な再生可能エネ活用計画の策定を進めている。太陽光発電にも関心を示すなか、計画の柱は水力発電の強化だ。ネパールには5000万~8000万キロワットの潜在的な水力発電能力があるとされる。ただ、内乱や王制廃止など20年間の政治空白で投資が止まり、インフラ建設はストップ。現在の能力は70万キロワットにとどまる。

 川の水を発電所まで引き込む「流れ込み式」水力発電が今までの主流で、雪解け水や雨量が少ない10月から3月はカトマンズでは停電が1日12~14時間に及ぶ。アジア開発銀行幹部は「ネパールの燃料輸入額の3割が(停電時の)発電機用だ」と指摘、国際収支に悪影響を与えていると話す。

 政府は今後、ダム型を含めた水力発電所の建設を推進する方針だ。ただ、ネパールの河川の大半がインドの大河ガンジス川に流れ込んでおり、政府高官は「農業や治水に影響が大きく、インドの介入は必至だ」と述べた。政府にはインドとの交渉を含む戦略的な政策が求められそうだ。(カトマンズ 共同)