伊勢志摩サミット経済効果は1000億円超? 過去には“失速”した例も
5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、会場となる三重県では直接的な経済効果を全国で1千億円超とする試算も出るなど、期待が膨らんでいる。ただ過去に地方で行われたサミットでは開催後に“失速”した例もある。アナリストは伊勢神宮など県内の集客力の高い施設と連携し、サミット関係者ら訪日客に魅力を伝えて情報を世界に広めるなど、経済効果を持続させる工夫が重要だと指摘する。
膨らむ期待
三重県は、サミット開催で生み出される直接的な経済効果を、全国で約1071億円(うち県内分は約480億円)と試算する。
さらに開催に伴う需要の増加額を産業36部門に分類して算出。道路や会場整備などの建設部門で約263億円、イベントの企画や運営の対事業所サービス部門で約124億円-などとしている。
鈴木英敬知事は「一定の額が積み上がった。試算を実現し、関係する皆さんが実感することが大事」と強調した。
ほかにも大和証券は外国人観光客の急増を反映し、開催後5年間で観光客が県内で消費する額を1750億円規模とはじく。
過去には失速も
一方、過去にはサミット開催後に、試算された経済効果が急速にしぼんだケースもある。
平成20年7月に開かれた北海道洞爺湖町。当初は地域振興の起爆剤として期待が高く、開催後5年間の道内の経済効果を370億円以上と見込んでいた。
しかし2カ月後、世界的な金融危機を引き起こした「リーマン・ショック」が発生し、一気に景気は後退。町への観光客は、19年度をピークに3分の2まで落ち込んだ。
サミット開催の翌年にオープンしたサミット記念館には当初、年間2万人もの見学者が訪れたが、来場者は年々減少。25年から入館料を撤廃したが、それでも訪れる人はまばらだ。
ある旅館関係者は「経済効果は全くなかった」と言い切る。
一方、12年に国内初の地方開催サミットが行われた沖縄県でも、こうした“失速”がみられた。開催翌年の13年に同県を訪れた外国人観光客は20万人だったが、3年後には目標(23万人)を大きく下回る13万人まで落ち込んだ。
名護市の繁華街で飲食店を経営する女性は「あの頃は、海外からたくさん人が来るからといって英会話集を作ったりしたけどね…」と言葉少なだ。
効果持続させるには
ただ、今回サミットが開催される三重県には、年間800万人以上が訪れる伊勢神宮などもあり、サミットを機に相乗効果が生まれれば経済効果の持続は可能とする期待も大きい。
実際、伊勢市では25年、伊勢神宮の社殿を20年に1度建て替える「式年遷宮」があり、年間の参拝者は統計を取り始めて以来初めて1千万人を突破。周辺の宿泊施設は予約で埋まり、地元への経済効果は3千億円に達したとする試算もある。
百五銀行(津市)のシンクタンク「百五経済研究所」の津谷昭彦・地域調査部主任研究員は「三重県は観光地に恵まれ、忍者や海女(あま)の文化など外国人観光客を魅了する観光資源も多い。ただサミットを受け身に構えていると、過去の例のように経済効果は縮小していく」と指摘。
最近では、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて、朱塗りの鳥居がずらりと立ち並ぶ京都・伏見稲荷大社の魅力を知り、訪れる外国人客が増えるなど“口コミ”による影響も大きい。
このため津谷氏は「サミット関係者に国際リゾート都市としての魅力を伝えれば、世界規模で情報拡散する効果が期待できる。京都など、海外でも有名な観光地を抱える都市とも連携することも重要だ」と提言する。
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