「G7でテロ対策の行動計画を示していきたい」

欧州訪問・安倍首相会見詳報(下)
記者会見する安倍首相=4日、ベルリン郊外(共同)

 --総理は伊勢志摩サミットで機動的な財政出動について強いメッセージを発したいと述べている。今般会談されたイタリア、フランス、EUと、イギリスやドイツとの間では温度差を感じたが総理の認識は。また、そうした認識の違いを今後どのように埋めていくか。一方で為替について。円高が進み、日本企業への影響も懸念される。G7サミットで為替について議論したり、具体的な対応を検討したりする予定はあるか

 首相「今回、各国において、首脳会談においてですね、私は世界経済について、通常の景気循環を超えて、危機に陥るリスクを回避し、世界経済を再活性化させるため、G7には構造改革の加速に合わせて、機動的な財政出動が求められていること、そのため、伊勢志摩サミットでG7として一段と強い、そして明確なメッセージを発出したいと考えていることを各国首脳にお伝えを致しました。この点について、手応えをしっかりと感じ取ることができました。それが、今回の一連の首脳会談の大きな成果だと思います」

 「すなわち、金融政策、機動的な財政政策、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランス良く協力を進めていくことが重要であるという点で、各国首脳と一致できました。いま申し上げた点においては、イタリアのレンツィ首相、そしてフランスのオランド大統領、そしてドイツのメルケル首相、英国のキャメロン首相と一致することができました。伊勢志摩サミットにおいては、首脳が一堂に会して、さらに今申し上げた共通の認識をベースに議論を深め、G7として明確な力強いメッセージを発出していく、そのことで一致を致しました」

 「そして、為替についてでありますが、まず為替の水準については総理大臣として言及を差し控えたいと思います。その上で申し上げれば、為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど、望ましくはありません。足元の為替市場では急激で投機的な動きが見られていますが、G20でも為替市場における過度の変動や無秩序な動きは悪影響を与えうるものであり、為替レートの安定が重要との認識が、確認されています。オランド大統領そしてメルケル首相とも、為替の安定は重要であり、急激な変動は望ましくないということについて、一致をしたところであります。為替市場の動向を注意深くよく見て必要に応じて対応したいと思います。また伊勢志摩サミットでは、世界経済の課題について、幅広く議論をしていくことになりますが、その中で、必要に応じて為替についても議論されることになるのではないのか、と思います」

 --例えば安全保障やウクライナ、中東やロシアについて意見が出てくるとお考えか

 首相「今回、安全保障に関わる課題。これはシリアの問題もそうですし、そしてテロの問題もそうです。また難民の問題もそうだと思います。そして、ウクライナ、またロシアとの問題、また南シナ海の問題などもあると思います」

 「G7というのは、自由や民主主義、そして人権、法の支配、普遍的価値を共有する国であります。まさに私たちが集まって議論していく、そして今申しあげたような課題にしっかりと立ち向かいメッセージを出していくが求められていますし、それがG7にとって責任でもあろうと思います。その意味におきましては、特にテロについては、われわれはG7において、テロ対策の行動計画を示していきたいとこう思っています」

 「大切なことはG7が結束力を示し、そうした課題にしっかり取り組んでいく。私たちが作り上げた世界の秩序に対する挑戦、そうした動きに対して、私たちが答えを出していく、そして処方箋を示していくことが求められていると思いますし、伊勢志摩サミットにおいては明確なメッセージを出したい。先ほど経済分野において明確なメッセージ、力強いメッセージを出したいと申し上げましたが、安全保障においても、力強いメッセージを示し、G7の結束力を示したいと思います」

 --明日行われる日露首脳会談について。北方領土問題の解決、平和条約の締結を目指すとともに、ウクライナ、シリア問題に対してG7一体となったメッセージを出す役割がある。日本の総理としての立場、議長としての立場、どうバランスを取って明日のトップ会談にのぞむのか

 首相「戦後70年たっても平和条約が締結されていない状況は、異常な状態であるという認識はプーチン大統領と一致をしているところであります。北方領土問題は首脳間のやりとりなくして解決はしません。北方四島の帰属の問題を解決をし、平和条約を締結するとの基本方針にもとづいてプーチン大統領と直接話し合い、領土問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく考えであります」

 「そして、日本とロシアはですね、最も可能性を秘めた二国間関係であります。環境経済や国民生活の面でも互いに協力を深め、この可能性を実現させる工夫も重要であります。プーチン大統領とはこうした面を含めて、胸襟を開いて対話を行っていきたい、このように思います。まさにこの可能性を現実化させるためにも、平和条約の締結が必要であります。そうしたこともしっかり念頭に置きながらプーチン大統領と議論したいと思います」

 「また、プーチン大統領とはシリア、IS、ウクライナ、北朝鮮、イランなどについて、ロシアの建設的関与を得ていくことも、重要であることについても率直に話し合いたいと思います」

 「また、こうやって申し上げますと、プーチン大統領の訪日についてでありますが、これを有意義なものにするべく引き続き、最も適切な時期を探っていきたいと、このように思います。もちろん私はG7の議長国であります。議長国としてですね、G7の枠組み、そして結束はしっかり守っていきたいと思っています」

 --アメリカが最近、日本を警戒リストにのせている。為替に対する問題ですけど、もし円がさらに強くなったらG7前に介入する用意はあるのか。またトランプ大統領になった場合は建設的な関係を築けるか

 首相「まず為替についていえば、先ほど申し上げた通りでありまして、急激な変動はわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるわけでありまして、望ましくないわけでありまして、足元の為替市場では、急激で投機的な動きがみられています。G20でもそうですが、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは、悪影響を与えうるものであり、為替レートの安定が重要との認識が確認されているものであります。今後とも為替市場の動向を注意深くみて、必要に応じて対応したいと思います」

 「そしてアメリカの対応についてでありますが、これは日米の貿易において、黒字であるということを鑑みて指定されているわけでありまして、われわれが恒常的にですね、為替に影響を与えているわけではないということであります」

 「また、米国の大統領選挙についてでありますが、米国の大統領選挙そのものについてですね、コメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米安保体制を中核とする日米同盟は、アジア太平洋の平和と繁栄の礎であり、そしてそのことは今後も変わりはないと思います。誰が大統領になるにせよ、日米同盟の重要性がますます増している、日米同盟の役割がますます重要になっている中、米国の新たな政権ともですね、今後とも引き続き緊密に連携しながら、日米同盟をさらに深化、強化させていくように努力していきたい。そのことが、アジア、太平洋の平和に資することになろうと思います」

 --今回の歴訪では、新興国経済や南シナ海の問題もテーマとなったかと思います。この問題は今後、サミットでもテーマになると思いますが、いずれにしてもこれは中国とも密接に関わる問題だと思う。今後秋のG20、これは中国が仕切ることになるが、G20に今回のテーマをどうつなげていくのか

 首相「中国をはじめとするですね、新興国の景気減速への懸念、そして、原油価格の低下、地政学的なリスクなどを背景に、世界経済の下方リスクが高まっています。こうしたときこそですね、G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければなりません。G7伊勢志摩サミットでは明確なメッセージを世界に向けて発信をして、そして秋のG20につなげていきたいと考えています」

 「南シナ海の問題につきましては、広島で行われたG7会合、外相会合でも充実した議論が行われました。自由で開かれた海洋は、国際社会の繁栄の礎でもあります。そうした観点から、G7伊勢志摩サミットでは法の支配と平和的解決の重要性について、各国首脳と認識の一致を見たいと考えています」

 「そして9月には中国の杭州で行われるG20サミットがありますが、杭州で行われるこのG20サミットにおいては、日中首脳会談も行いたいと考えています。新興国経済や、南シナ海の問題はいずれも重要なテーマであり、G7サミットの成果をもとに、世界の平和と繁栄に対する中国の建設的な関与を働きかけていきたいと考えています」(ロンドン=峯匡孝)