観光振興 「秋田犬の手」拝借

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秋田犬の知名度を利用した観光振興を目指す秋田県大館市の福原淳嗣市長=4月、秋田市

 ■発祥の地・大館 触れ合い施設など計画

 秋田犬発祥の地とされる秋田県大館市が、その知名度を観光振興に生かそうと動き始めた。展示施設の建設やサポーター制度の創設に加え、日本一有名な秋田犬・忠犬ハチ公の東京・渋谷駅の銅像を一時移転させる案も。猫の手ならぬ「犬の手」を借りた振興策は功を奏するか。

 江戸時代に大館周辺を治めた佐竹氏が闘犬を奨励。猟犬と土着犬などとの交配によって、秋田犬は誕生したとされる。1931(昭和6)年には日本犬で最初の天然記念物に指定された。

 愛好家は世界各国に広がり、ネット上でも秋田犬を示す「Akita」という英単語が検索される回数は多い。福原淳嗣大館市長は「国際的な知名度を外国人観光客の誘致に生かさない手はない」と語るが、犬と市が結び付けられることは少ない。秋田犬保存会(大館市)の富樫安民副会長も「ブランドにあぐらをかいていた」と反省する。

 一方で、せっかく大館に来ても「秋田犬に会えない」との不満の声が聞こえる。市は2019年春をめどに、犬と気軽に触れ合えるスペースや解説コーナーを備えた展示施設をJR大館駅前に建設。観光客の受け入れ態勢を整える計画だ。

 住宅事情などで飼育できない人向けには、サポーター制度を検討している。費用を負担して保存会に飼育を委託する代わりに、ネット上で成育状況を観察できるなどの特典を付ける予定だ。市は「支援する秋田犬と散歩するために、大館に来てほしい」と話す。

 駅で亡き主人を待ち続けた秋田犬ハチは、大館生まれ。渋谷区によると、駅付近の再開発に伴い、ハチ公口周辺は2020年の東京五輪後に工事する見込みだが、作業中の銅像の扱いについては未定だ。大館市は「ぜひハチ公像の里帰りを」と一時移転を提案。熱いラブコールを送る。

 福原市長が「走りながら考える」と話すように、課題は山積。十和田湖や白神山地といった周辺の観光資源と、どう連携させるか。どういった外国人をターゲットにするか。とはいえ、高齢化や人口流出が進み、定住人口が今後増える見込みはない。市観光課の阿部拓巳課長補佐は「秋田犬を入り口にした観光振興で、交流人口の増加を目指したい」と期待を込める。