オバマ氏、中国の「経済」「軍事」への手綱さばき正念場迎える
伊勢志摩サミット米国を太平洋国家と位置付けてきたオバマ米大統領にとって、今回のベトナム、日本歴訪は中国の2つの「台頭」とどう向き合うかが隠れたテーマとなっている。世界経済の成長のため経済的な台頭を歓迎する一方、南シナ海の軍事拠点化などの軍事的な台頭を抑えるには微妙な手綱さばきが必要であり、オバマ氏が掲げてきた「アジア・リバランス(再均衡)」政策は正念場を迎えている。
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では26日、各国首脳から南シナ海での中国による軍事拠点化の動きへの懸念が相次ぎ、「航行の自由」確保の重要性を確認した。オバマ氏は25日の安倍晋三首相との共同記者会見で南シナ海問題に関し、「紛争の解決は中国の力にかかっている」と責任ある行動を呼びかけた。
再均衡政策の柱としてオバマ政権が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)やアジア太平洋での米軍プレゼンス強化を進めてきたのは、貿易・投資分野や南シナ海問題で中国に国際法や規範にのっとった行動を促すためだ。米中両政府は経済や安全保障をめぐる懸案を話し合う戦略・経済対話も継続している。
南シナ海での「航行の自由」作戦の継続、対ベトナム武器禁輸の全面解除などで対中圧力を強めるオバマ氏だが「伝統的な大国関係の観点から米中関係は今後も決定的に重要」(米誌アトランティックのインタビュー)との基本的な立場は変えない。オバマ氏は今回で10回目となるアジア歴訪に続き、中国が9月に議長国として初めて杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議にも出席する予定だ。
問題は米国の圧力にもかかわらず中国に「力による現状変更」をやめる気配がないことだ。米国では大統領選で共和党の候補指名獲得を確実にした不動産王、トランプ氏が中国製品に最大45%の輸入関税をかけると主張。こうした発言は、オバマ政権下で大国としての自信を失いかけた同党支持者に受け入れられている。
ブッシュ前政権で国務副長官として中国に「責任あるステークホルダー(利害共有者)」になるよう求めたゼーリック前世界銀行総裁はオバマ政権の対中政策を「政権に対中関係全体を導く高官がおらず、対応が後手に回っている」と批判した。(加納宏幸)
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